日本国内で流通するプードルの多くは、生まれて間もない頃に「断尾」という尻尾の切除が行われます。 一体これにはどのような意味があるのでしょうか。 今回は、プードルの尻尾を切る理由やその時期・方法、近年の断尾への見解について解説します。
1.プードルの尻尾を切る理由
プードルの尻尾を切る理由は「狂犬病予防のため」「狩猟犬・牧羊犬として動きやすい姿にするため」「糞便による感染症を予防するため」「美容目的のため」の4つがあげられます。
1)狂犬病予防のため
かつてのヨーロッパでは、犬の尻尾を切ること(=断尾)が狂犬病予防に繋がると広く信じられていました。 しかし、現在に至るまでその根拠は立証されておらず、今はこれを理由に尻尾を切る習慣はないようです。
2)狩猟犬・牧羊犬として動きやすい姿にするため
そもそもプードルには狩猟犬・牧羊犬として飼育されていたことから、その際の怪我を防止するために断尾されていたといわれています。
3)糞便による感染症を予防するため
巻き毛で絡まりやすいプードルの毛に糞便が付着してしまうと、そこから皮膚病等の感染症を発症するリスクがあります。 尻尾は肛門に近く汚れやすいので、切ることによりそのリスクを軽減させる狙いがあったという説が有名です。
4)美容目的のため
現代で犬の断尾をする理由の多くは、これに該当します。
尻尾のないプードルの姿が理想的であると認識されるようになった今日において、断尾された状態で販売されるのが一般的となっているのです。
2.プードルの尻尾を切ることのデメリット
プードルだけでなく、犬にとって尻尾がないというのは多くのデメリットを伴います。 中でも重要なのは、コミュニケーション手段としての使い道。 言葉の離せない犬たちは、尻尾を動かすことで意思を伝えようとするので、尻尾を切ると意思表示の幅を狭くしてしまうのです。
プードルの尻尾を切るのは人間のエゴ
断尾は日本で禁止されていない行為ですが、生まれ持った尻尾を人間の利益のために切除して彼等にだけ痛い思いをさせるのは残酷だと感じる方も多いかと思います。 今回ご紹介したプードルのほか、断尾される犬種を飼う際には出来る限り尻尾を切らないブリーダーを選ぶ等の配慮を行い、国内の断尾の歴史を変えていくための一歩に貢献しましょう。