この記事では、ミニチュア・ダックスフンドを飼おうと考えている方へ、ミニチュア・ダックスフンドの特徴や性格、大きさ、値段相場、飼い方のポイントなどをご紹介します。 ミニチュア・ダックスフンド飼育の参考にしてみてください。
ミニチュア・ダックスフンドの特徴
1) ドイツで生まれた狩猟犬 原産国はドイツで、“ダックスフンド”とは、ドイツ語で“アナグマの犬”という意味。 狭い穴に潜む“アナグマ”を狩るために作られた犬種です。 アナグマの巣穴に潜り込みやすいように、足は短く、胴は長く、筋肉質で引きしまった体になるよう改良されました。 2) 3つのサイズに分類されるダックスフンド ダックスフンドという犬種は、日本では3つのサイズに分類されます。 胸囲が35㎝以上、体重が9~12㎏ → スタンダード・ダックスフンド 生後15か月で胸囲が30~35㎝、体重が 3.5〜5kg→ ミニチュア・ダックスフンド 生後15か月で胸囲が30㎝以下、体重が体重3.5kg以下 → カニーヘン・ダックスフンド ミニチュア・ダックスフンドやカニーヘン・ダックスフンドは、アナグマよりも小さいウサギやネズミを狩るために、より小さく改良されたといわれています。 また、カニーヘン・ダックスフンドは小さい体で活発的に動くので、原産国のドイツではラビットダックスとも呼ばれているようです。
ミニチュア・ダックスフンドの被毛
ミニチュア・ダックスフンドに限らず、ダックスフンドは全犬種の中でもコートタイプ、毛色の組み合わせが多い犬種です。
【被毛】
ダックスフンドの被毛はスムース(短毛)、ロング(長毛)、ワイアー(剛毛)の3種類の被毛に分けられます。
スムースコート
ダックスフンド本来の艶と光沢のある短い被毛です。
ダックスフンドの筋肉質なボディを際立たせる、まるでベロアのような光沢感で凛々しい印象が魅力です。
ロングコート
柔らかく光沢のある毛質で、ダックスフンドの毛質の中で唯一長毛です。
16世紀ごろにスパニエル系の犬種と交配して作出されたダックスフンドで、胴まわりだけでなく耳や尻尾にも長くてふさふさの毛が生えています。
また、この交配によってスパニエル系の大人しく優しい性格を受け継ぐ事になり飼育がしやすくなったため、猟犬としてではなくペットとして人気が出ました。
日本ではとくに親しまれている毛質です。
ワイアーコート
くりくりとした癖がある短い毛がワイアーヘアーのダックスフンドです。
ロングヘアーと同時期にテリア系の犬種との交配で誕生した犬で、テリアのようなあごひげを持っています。
アナグマの反撃を軽減するため、狩りの際に茂みや草むらを駆け巡ってもケガをしないよう、保護の役割を担ったともいわれています。
テリア系の性格は気が強く頑固な性格が基本になっているため、ワイアーコートのダックスフンドは躾に根気がいるようです。
【毛色】
ミニチュア・ダックスフンドは、毛色の種類がとても多い犬種です。
大きく分けて単色・バイカラー・混色の3種類があり、その中でもレッドやイエロー、ブラック&タンなど、さまざまな毛色が見られます。
レッド
単色のレッドは、ミニチュアダックスフンドの基本カラー(原色カラー)です。
赤茶色に艶めく毛色はエレガントでかわいいですよね。
外を歩いていても、見かける機会が一番多いカラーではないでしょうか。
イエロー
クリームとも言われる毛色で、薄いベージュのようなクリーム色の毛色です。
優しい色味が人気です。
ブラックタン
タンとは、黒色の毛に混じる茶褐色の模様のことです。
ブラックタンは、艶やかなブラックをベースカラーとし、頬回りや額、手足などに差し色のタンが入っています。
ブラックタンの最大の魅力はまろ眉毛のような模様で、表情に愛嬌があります。
チョコタン
ベースカラーがブラックタンよりも優しい色味のチョコレートブラウンです。
ブラックタンとは異なり、チョコタンは鼻の色もブラウン系の色になるのが特徴です。
ブラウンの濃さは個体差があるようです。
ダップル
体全体に大理石のような班模様をもつ柄のことを指します。
ダックスフンドで最も多く見かけるのはシルバーダップルという柄で、ブラックタンにマール遺伝子が作用して、体全身にシルバーもしくは白の模様ができています。
また、ベースがブラウン系のチョコレートダップルという毛色もあるようです。
ブリンドル
ブリンドルとは虎毛のことで、レッドの地色に黒や茶色、タン、ゴールドなどの毛色が、虎の縞模様のようにストライプが入ったパターン柄になっています。
ミニチュア・ダックスフンドの性格
ミニチュア・ダックスフンドの基本的な性格の特徴は、活発で遊びが大好きです。 ほかの犬や人とも仲良くできるフレンドリーな性格ですが、かつてダックスと交配された他犬種の影響があり、毛質によって性格が異なってくるようです。
スムースヘアーの性格
ミニチュアダックスフンドの基礎となる毛質で、元気があってパワフル、好奇心が強く積極的、飼い主の指示によく従う忠実な性格の子が多いようです。
ロングヘアーの性格
穏やかで優しい性質のスパニエル系の犬と交配されて生まれた毛質で、温厚で落ち着いた性格を受け継ぎ、甘えん坊です。
ワイヤーへアーの性格
ダックスフンドと活発なテリア系の犬を交配して生まれた毛質のため、自立心が強く、勇敢でやんちゃ、遊びや運動が大好きで、飼い主に対して忠実な性質をもちます。
また、性別によっても性格の特徴が異なります。
オスの性格の特徴
やんちゃで甘えん坊な子が多く、いつまでも子どもっぽい印象がかわいらしいです。
縄張り意識が強い子が多いため、マーキング行動が始まる前に去勢する等、対策しましょう。
メスの性格の特徴
落ち着いていて母性本能が強いため、家族に対して愛情深くなるようです。
マイペースな子もいるため、甘やかしすぎるとわがままになってしまうのでしつけはしっかりと行いましょう。
ミニチュア・ダックスフンドの大きさ
ダックスフンドはサイズが3種類あります。 それぞれ基準を解説します。
ミニチュア・ダックスフンド 成犬の体高
JKCの規定によると、ミニチュア・ダックスフンドの成犬時の体高はオス37~47cm、メス35~45cmが一般的です。
ダックスフンドはスタンダード・ミニチュア・カニーヘンの3サイズあり、体高についてはジャパンケネルクラブによると胸囲でサイズ分けしています。
生後15カ月で胸囲を測定した際のサイズで判断します。
スタンダード |
オス:37cm超~47cm以下/メス:35cm超~45cm以下 |
ミニチュア |
オス:32cm超~37cm以下/メス:30cm超~35cm以下 |
カニーヘン |
オス:27cm~32cm以下/25cm~30cm以下 |
ミニチュア・ダックスフンド 成犬の体重
JKCの規定によると、ミニチュア・ダックスフンドの成犬時の体重は約4.5~5kgが一般的です。
スタンダード |
約9 kg |
ミニチュア |
約4.5~5kg |
カニーヘン |
約3.2~3.5 kg |
ミニチュア・ダックスフンドの場合、オスの方が体重が重くなる傾向があるようですが、性別による体重の違いというよりは、個体差である場合が多いようです。
上記の体重を目安にするとともにBCS(ボディ・コンディショニング・スコア)も確認するようにしましょう。
BCS(ボディ・コンディショニング・スコア)の記事:おやつの食べ過ぎは愛犬の肥満の主な原因になる?
ミニチュア・ダックスフンドの値段・価格相場と選び方
ミニチュア・ダックスフンドの値段相場は、20万円~50万円となっています。 カラーによって相場が異なります。単色(レッドやイエロー)は20万円~30万円、珍しい毛色になると40万円~60万円が相場のようです。
ミニチュア・ダックスフンドの選び方
ミニチュア・ダックスフンドの子犬を選ぶときには、以下のポイントをチェックしましょう。
健康体かどうかのチェック |
・毛並みがきれいか ・口の中は綺麗なピンクで噛み合わせが良好か ・目ヤニはなくキレイか ・鼻は湿っているか ・耳の中に異常や異臭はなく綺麗に立っているか ・立ったときの肩や前腕・胸部ががっしりしているか ・お尻の周りが汚れていないか ・不自然な歩き方をしていないか ・抱き上げたときにずっしりした重みがあるか |
性格のチェック |
・元気に遊んでいるか ・遠くから声をかけたときに反応するか ・こちらに対し尻尾を振ってくれるか ・抱っこされたときにおとなしいか |
血統・将来の大きさのチェック |
・遺伝病やデメリットとなる特性を親や祖先・兄妹が持っていないか ・JKC発行の血統証明書はついているか ・数代先までファミリーツリーを確認できるか |
ミニチュア・ダックスフンドは、毛色のパターンが多い犬種です。
希少性の高い柄模様は価格も高いのですが、JKC(ジャパンケネルクラブ)で認められていないことがあります。
JKCで認められていない毛色については健康欠陥が生じやすいため、しっかりJKC発行の血統証明書があるかを確認しましょう。
また、ミニチュア・ダックスフンドは、目や腰、関節の遺伝性疾患を持っていることがあります。もしブリーダーから迎える場合は、遺伝子検査を実施している場合があるので聞いてみましょう。もしくは、親犬の健康状態を見聞きすることで、将来の健康状態をイメージできるかもしれません。
ミニチュア・ダックスフンド 飼い方のポイント
ミニチュア・ダックスフンドは、室内で飼うことが基本の犬種です。 ここでは、ミニチュア・ダックスフンドの子犬をお迎え・飼い方のコツ・ポイントなどを紹介します。
お迎え時のポイント
子犬のお迎えに行く際には、必ずペットシーツを敷いたキャリーケースを用意しましょう。安全に子犬を運べるよう、子犬の大きさに適した頑丈なキャリーケースを使ってください。
お迎え時には、食事やトイレの仕方、健康診断やマイクロチップの有無など、子犬の現在の状況を聞いておくことを忘れないようにしましょう。
かかりつけになる動物病院を事前に探しておくことで、お迎え後の健康診断などをスムーズに受けることができます。
ミニチュア・ダックスフンドの子犬をお迎えする際には、以下のグッズを用意しましょう。
- サークルやケージ
- トイレトレー
- 首輪やハーネス
- リード
- 食器
- 給水機
- お迎え先で食べていたフード
- スリッカー・コームブラシ
- ペットヒーター(10~5月の場合)
- 爪切りやシャンプーなどのケア用品
- おもちゃ
- 除菌消臭剤 など
お迎え前には子犬が誤って飲み込んでしまわないよう、床に物はできるだけ置かない環境づくりをかかさないようにしましょう。
寒い時期・暑い時期にお迎えをする場合には、ペットヒーターやエアコンで温度管理をしっかり行ってください。
お迎え当日から3日ほどは、なるべくケージから子犬を出さず環境に慣れてもらいましょう。
初日~1週間はじっくりと様子を見て、その後にスキンシップをとっていくと子犬の愛犬に不安をあまり感じさせずに慣れさせることができます。
成長期・成犬期のポイント
ミニチュア・ダックスフンドを飼育する際には、飼育や食事、運動やしつけなどさまざまなポイントを知っておく必要があります。
ここでは、ミニチュア・ダックスフンドと暮らしていく上でのポイントを解説します。
【飼育のポイント】
ミニチュア・ダックスフンドは、椎間板ヘルニアなどの腰の病気になりやすいので、上り下りやジャンプなど、腰に負担のかかる動作をできるだけしないよう注意する必要があります。
おうちではフローリングで滑らないよう、滑り止めマットを敷いたり、ソファから飛び降りずにすむよう、ペットステップ(スロープ)を置いてあげる等、飼育環境を整えましょう。
肥満が椎間板ヘルニアなどの原因になることもあるので、食事管理に気を付けましょう。
また、足が短いという特殊な体型のため、お散歩時はお腹が汚れてしまうことも。
今はダックス専用サイズのお洋服も多くあるため、おしゃれも兼ねて着せてあげると良いですね。
【食事のポイント】
ミニチュア・ダックスフンドは⼩型⽝なので、フードは粒が⼩さいもの、飲み込みやすいものを選んであげましょう。
また椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種のため、⾻・関節をサポートする成分を配合したフードを与えるのも良いでしょう。
また、個体差はあるものの、ミニチュア・ダックスフンドは食欲旺盛で早食いな子が多いようです。
今は早食い防止の食器等、様々なグッズがありますので活用しましょう。
肥満にさせてしまうと腰に負担がかかり、椎間板ヘルニアを発症するリスクが高まるので気を付けましょう。
ミニチュア・ダックスフンドは生後10カ月ほどで成犬になります。
食事の回数は消化器系の成長に合わせて変えていく必要があります。成長段階に合わせたご飯の回数を表にまとめたので参考にしてください。
~生後6ヶ月半 |
3~5回 |
生後6ヶ月〜6歳 |
2~3回 |
7歳以降 |
2~3回 |
【運動のポイント】
ミニチュア・ダックスフンドは小型犬ですが、元々は狩猟をしていたこともあり、活発な犬種です。
散歩は、1日2回、20分/回(1日40分程度)することが理想です。また、ロープを引っ張りっこしたり、穴掘りの要素を取り入れた遊びも喜びます。
肥満予防のために運動させることはいいことですが、あまり激しいと腰に負担がかかり、椎間板ヘルニアを発症するリスクが高まるので気を付けましょう。
家の中で遊ぶときは、滑ってしまわないように滑り止めマット等を敷いてあげましょう。
【お手入れのポイント】
ミニチュア・ダックスフンドは、被毛は一定の長さまで伸びたらそれ以上は伸びません。
しかし、ロングコート、ワイヤーコートは汚れがつかないようお尻まわりの毛を短くカットしたり、滑らないように足裏(肉球の間)の毛をカットするなどの手入れが必要です。自分でできない場合は、トリミングサロンでケアしてもらいましょう。
寿命が比較的長い犬種で、口のサイズに対し歯が大きいため歯周病になりやすいです。歯周病のリスクを減らすため、子犬の頃から毎日の歯磨きを習慣付けましょう。
表にミニチュア・ダックスフンドに必要なお手入れをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
スムース | ロング | ワイアー | |
---|---|---|---|
ブラッシング | 週に1~2回 | 毎日 | 週に数回 |
シャンプー | 月に1回 | 月2回 | 月2回 |
歯磨き | 毎日 | ||
爪切り | 月1~2回(爪が伸びていたら) | ||
耳掃除 | 汚れが気になったら |
【しつけのポイント】
ミニチュア・ダックスフンドは賢い犬種で、教えたことを比較的すぐに覚えてくれるでしょう。
しかし狩猟犬としての本能が残っていて、頑固で自立心の高い面もあります。
しつけで気を付けることは、信頼関係を築くことと、飼い主がリーダーであると理解させることです。
また、猟犬だったミニチュアダックスは吠えやすい傾向があります。これは獲物を見つけたときに、飼い主に吠えて知らせていたころの名残ですが、賃貸等では近隣の迷惑になってしまう可能性があるので、根気よくしつけましょう。
生後3~12週の時期は社会化期と呼ばれ、犬が様々な刺激に適応できるようになる期間があります。この期間に他の人や犬と触れ合わせることで、社交性のある子に育てることができるので、パピーパーティやパピークラスに参加することをおすすめします。
トイレトレーニング |
決められた場所でトイレをできるようにする |
クレートトレーニング |
クレートに入ったまま大人しくできるようにする |
コマンドトレーニング |
「お手」「お座り」「伏せ」などのコマンドをこなせるようにする |
噛み癖のトレーニング |
噛んでよいもの・いけないものの区別できるようにさせる |
吠え癖のトレーニング |
無駄吠えをさせないようにする |
リーダーウォークのトレーニング |
引っ張ることなく、飼い主の横について散歩できるようにする |
まとめ
小さな体で飼い主に従順で頭が良いミニチュア・ダックスフンド。 無駄吠えしないようにしつけることができれば、賃貸でも飼いやすい犬種と言えます。 甘えん坊のかわいいミニチュア・ダックスフンドを家族に迎えてみてはいかがでしょうか。