犬の早食いが心配な飼い主さんへ｜健康リスクと今すぐできる防止策

ごはんの時間になると、あっという間に完食してしまう愛犬。 お皿が空になるスピードに驚いたり、むせるように食べている様子に「大丈夫かな」と心配になったりしたことはありませんか？ 犬の早食いは、見た目には元気そうでも、実はさまざまな健康リスクやストレスのサインが隠れていることがあります。 とくに、喉詰まり・吐き戻し・胃腸への負担など、命に関わるトラブルにもつながる可能性があるため、できるだけ早めに対策をとってあげたいところです。 この記事では、愛犬の早食いに不安を感じている飼い主さんに向けて、そのままにしておくことで起こりうる健康リスクや、今日から実践できる防止策と便利グッズをご紹介していきます。

なぜ犬が早食いしてしまうのか、まずはその原因を探ってみましょう。 愛犬の性格や環境に合った対策をとるヒントになります。

習慣・本能によるもの

犬が早食いをしてしまう一因に、野生時代の本能が関係していると考えられています。

もともと犬の祖先は、食べられるときに素早く食べなければ他の動物に食料を奪われてしまうような厳しい環境で生きていました。

その名残から、「ごはんは早く食べなければ」と無意識に感じているわんちゃんも多いといわれています。

たとえ今、安全な室内で十分なフードをもらっていたとしても、その「急いで食べる癖」が自然と残っているのかもしれません。

多頭飼いで競争心がある

複数のわんちゃんが一緒に暮らしている場合、「早く食べないと取られてしまう」という競争意識から、食事のスピードが早くなることがあります。

とくに、フードボウルが近い距離に並んでいると、隣の子の様子を意識して落ち着いて食べられないケースもあるでしょう。

もともと食欲が強いタイプのわんちゃんは、さらに拍車がかかってしまうこともあります。

フードのあげ方に問題がある

1日1回など、食事の間隔が空きすぎてしまうと、わんちゃんが強い空腹を感じてしまい、がっつくように食べてしまいます。

空腹時間が長すぎることも、早食いの原因のひとつです。

また、毎回同じ時間・同じ環境で与えられていないと、わんちゃんが食事のタイミングを予測できず、「次いつ食べられるか分からない」と不安を感じて早食いにつながることもあるでしょう。

早食いは、ただの癖や性格だと思われがちですが、犬の体にさまざまな負担をかける原因になります。 とくに飲み込むように食べる癖がある子や、食事中によくむせたり吐いたりする子は注意が必要です。

誤飲・喉詰まり・窒息・吐き戻しの危険

もっとも直接的で危険なのが、喉詰まりや窒息のリスクです。

丸飲みしてしまったフードが喉に詰まってしまうと、呼吸困難や咳き込み、最悪の場合は命に関わる事態になることもあります。

また、早食いによってフードと一緒に空気も大量に飲み込んでしまい、胃が膨らんでしまうことで嘔吐や吐き戻しの原因にも。

とくに粒の大きいドライフードを与えている場合や、喉が細い小型犬・シニア犬などは、より慎重に対策する必要があります。

消化不良・胃捻転の可能性

早食いによって食べ物をよく噛まずに飲み込むと、胃や腸に大きな負担がかかります。

その結果、胃もたれや下痢、便秘などの消化不良を引き起こすこともあるでしょう。

とくに注意したいのが、「胃捻転（いねんてん）」と呼ばれる緊急性の高い疾患です。

胃がガスで膨らんだりねじれたりして、血管が圧迫され、命に関わる深刻な状態に陥ることもあります。

胃捻転は、大型犬に多く見られる傾向がありますが、食後の激しい運動やストレスなどが原因でどの犬種でも発症するリスクがあるため、十分に注意が必要です。

肥満や糖尿病などの生活習慣病リスク

早食いによって満腹感を感じる前に食べ終えてしまうと、必要以上に食べ過ぎてしまう傾向があります。

その結果、体重の増加や肥満につながり、やがて糖尿病や関節への負担、心臓への影響など、長期的な健康リスクを招くこともあるのです。

また、早食いが習慣化してしまうと、食への執着やストレスによる行動問題にも発展する場合もあります。

早食いによるリスクを避けるためには、日常の食事環境や与え方を少し工夫することが効果的です。 【早食い対策】 ① 早食い防止用の食器を使う ② フードを小分けにして回数を増やす ③ ドッグフードを手で与える ④ 手作り食やウェットフードで咀嚼を促す ⑤ 落ち着いて食事できる場所をつくる それでは、今日からすぐに取り入れられる実践的な防止策を5つご紹介していきます。

① 早食い防止用の食器を使う

もっとも手軽で効果的な対策が、「早食い防止用のフードボウル」を使うことです。

器の内側に凹凸や迷路のような突起がある構造になっており、フードが器の中に散らばることで、一粒ずつ食べる動作を促すように工夫されています。

自然と食べるスピードがゆるやかになり、丸飲みや喉詰まりの予防にもつながります。

初めて使う際には、わんちゃんが慣れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、多くの飼い主さんが「効果を実感できた」と評価している早食い防止策です。

② フードを小分けにして回数を増やす

1回の食事量が多すぎると、どうしてもわんちゃんは急いで食べがちになります。

そんなときは、1日の食事量を3〜4回に分けて与える方法がおすすめです。

こまめに与えることで空腹感を和らげ、一度の食事に対する執着を抑えることができます。

また、体内の血糖値の急上昇を防ぐことができるため、肥満や消化不良の予防につながるメリットも。

ただし、1日に与えるフードの分量は変えずに、1日分を分割して小分けにしておくのがポイントです。

③ ドッグフードを手で与える

食事中に興奮しやすいタイプや、ほかのわんちゃんと競ってしまう子には、手でフードを少しずつ与える方法を試してみましょう。

食べる速度をコントロールしながら、飼い主さんとの信頼関係も育てられるので一石二鳥。

また、時間をかけることで満腹感が得られやすく、食欲が先走るわんちゃんにも効果が期待できます。

さらに、飼い主さんの声かけやアイコンタクトとともに与えることで、落ち着いた気持ちで「待つ」「噛む」といった行動が定着しやすくなるのもポイント。

しつけの一環として取り入れたい方にもぴったりの方法です。

④ 手作り食やウェットフードで咀嚼を促す

早食いのわんちゃんは、ドライフードのカリカリを噛まずに飲み込んでしまうことがよくあります。

そこで、ドライフードをふやかしたり手作りごはんやウェットフードを取り入れることで、自然と咀嚼の回数を増やすことができます。

やわらかく、水分を多く含んだ食事は消化にもやさしく、満腹感を得やすいため、食べすぎ防止にも効果的です。

また、手作りの場合は野菜などを細かく切って混ぜることで、自然とゆっくり食べる構成にすることも可能です。

ただし、手作り食に切り替える際は栄養バランスに注意し、獣医師や専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

関連記事：ドッグフードをふやかして与えるとどんなメリットがある？デメリットは？

⑤ 落ち着いて食事できる場所をつくる

食べる場所や状況によっても、わんちゃんの食事ペースは大きく変わります。

落ち着ける静かな環境で食事をすることも、早食い対策のひとつです。

たとえば、テレビの音や家族の会話、ほかの犬の視線などがあると、わんちゃんが緊張して急いで食べてしまうことがあります。

とくに多頭飼いのご家庭では、それぞれの食事場所を遠くするなど、安心して食べられる環境をつくってあげると効果的です。

フードボウルの高さや位置にも気を配り、わんちゃんの体格に合った食事スタイルを整えてあげましょう。

早食い防止に役立つおすすめグッズ

早食い対策を習慣づけるうえで、専用のグッズを取り入れることも非常に効果的です。

ここでは、愛犬との食事時間をもっと安全で落ち着いたものに変えてくれる、人気の早食い防止アイテムを2点ご紹介します。

【Petifam】肉球フードボウル S/Mサイズ

見た目にもかわいらしい、肉球型の凸凹が特徴のフードボウル。

わんちゃんが一気に食べられないよう、フードが自然と分散される構造になっており、早食いを防ぎながら食事に集中できる工夫が施されています。

ふちを高めに設計し、フードがこぼれずストレスなく食べやすいのもポイント。

陶器製なのでキズ付きにくく、食洗器や電子レンジにも対応しています。

L'ange 探犬マット

食べることが大好きなわんちゃんにぴったりなのが、こちらの知育トイ型おやつマット。

フードやおやつをマットの中に隠して与えることで、鼻を使って探す・嗅ぐ・取り出すという行動を通じて、自然と食べるスピードをゆるやかにしてくれます。

食べながら遊ぶことで、脳への刺激にもなり、ストレス解消や暇つぶしにも最適。

お留守番時や雨の日のおうち時間にも重宝します。

布製でやさしい肌触りなので、初めて知育アイテムを使うわんちゃんにも安心して取り入れられるのも嬉しいポイント。

愛犬がごはんをあっという間に食べてしまう姿は、微笑ましく感じる反面、「喉に詰まらないかな？」「体に負担がかかっていないかな？」と、不安になることもあるかもしれません。 犬の早食いは、本能や生活環境、与え方の習慣など、いくつかの要因が重なって起こります。 そしてそのままにしておくと、誤飲・消化不良・肥満や生活習慣病など、健康リスクにつながる可能性もあるのです。 早食い防止用の食器や知育マット、食事回数や場所の工夫など、今日からできることはたくさんあります。 愛犬の健康のためにも、少しずつ環境や食べ方を見直してあげましょう。