愛犬がシャンプーをするときに暴れてしまって苦労していませんか? 体を清潔に保つためには、犬のシャンプーを月に1~2回行うことが必要です。 けれども、愛犬がシャンプー嫌いで、シャンプー始める前に逃げられてしまったり、シャンプーをしている最中も暴れられたりすると、月1,2回でも難しいと感じる方もいるかと思います。 そこで今回は、犬のシャンプーの基本と嫌がらないコツを説明します。
1.犬のシャンプーの目的・必要性
犬は猫と違って、毛づくろいをして体を清潔にする習性がありません。 長期間放っておくと汚れがたまり、ニオイや皮膚病の原因になることがあります。 また、散歩などで外に出ると、汚れだけではなく、ダニやノミがつくこともあります。 被毛や皮膚を清潔に保つためにも、適度なシャンプーが必要です。
2.犬のシャンプーの頻度はどれくらい?
1)シャンプーの頻度は月に1~2回が推奨
個体差もありますが、犬のシャンプーは月1~2回が適切です。
毛で覆われているため分かりにくいですが、体には代謝によって発生した皮脂や古い角質などが地肌にたまっています。
健康のためにも、愛犬に合った適切な頻度でシャンプーをしてあげましょう。
2)シャンプーのしすぎには注意
シャンプーを頻繁にしすぎると、必要な皮脂まで落としてしまい、かえって皮膚トラブルの原因になります。
多くても月2回程度までにしましょう。もちろん、皮膚の疾患などで獣医師からこまめにシャンプーをするよう指示されている場合は例外です。
ニオイや汚れが気になる場合はこまめにブラッシングをしたり、蒸しタオルで拭いたりするだけでもきれいになります。
3)体力のない犬はシャンプーを控えて
シャンプーは愛犬の皮膚や被毛を健康に保つ上で大切です。同時に、犬にとっては体力を消耗するものでもあります。
生まれたばかりの幼犬や妊娠中、体調不良の場合は控えましょう。
また、高齢になると体力が低下するため、若い時と同じ頻度ではできなくなることもあります。
負担をかけないために2ヶ月に1回のペースを目安にしましょう。
不安であれば、獣医師に相談することをおすすめします。
3.犬のシャンプーをする前に必要な準備は?
1)水温を適切な温度にする
シャンプーの際、シャワーやお風呂の温度は夏場で35~36℃、冬場で37~38℃程度が望ましいといわれています。
人間が少しぬるいと感じる程度の温度です。
犬は体温調節が苦手なので、お湯の温度が温かすぎても冷たすぎても体調不良になってしまいます。
愛犬にシャワーで水をかける前に自分の手で確認しましょう。
2)犬のシャンプーに使用する道具
シャンプー・リンス
シャンプーは必ず犬用のものを使用しましょう。
人間と比べると犬の表皮が薄く、肌の性質が違うので、人間用のシャンプーを薄めたとしても犬の肌を痛めてしまう可能性があります。
必要に応じてリンスを使用することもあります。
こちらも必ず犬用の商品を使いましょう。
ブラシ
シャンプーをする前に被毛についたホコリを落としたり、被毛のもつれを取ったりするのに使用します。
ブラシについての記事はこちらの記事を参考にしてみてください。
参考記事:犬のブラッシングのやり方は?頻度や道具も紹介!
洗面器・ボウル
シャンプーを薄めたり、泡立てたりする際に使用します。
スポンジ・ネット
シャンプーを泡立てるために使用します。泡立てたシャンプーを犬の体につける時にも使用できます。
滑り止めマット
お風呂場で犬が足を滑らせてしまうのが心配なときに使用します。
シニア犬や子犬、足腰が弱い犬には使用することをおすすめします。
タオル
体全体を拭く大きいものと、顔などの細かい部分を拭く小さいものとで数枚用意しておくと便利です。
マイクロファイバー素材のタオルは吸水性に高いのでおすすめです。
ドライヤー
犬用のドライヤーも販売されていますが、人間用でも問題ありません。
大型犬や毛量が多い犬種はドライヤーに時間がかかるので風量の強いものを使うといいでしょう。
犬用綿棒
万が一耳に水や泡が入ってしまった場合、コットンや犬用綿棒で優しく拭き取りましょう。
直接耳の中に指を入れたり、コットンや犬用綿棒で強くこすってしまうのはNGです。
耳の中に傷がついてしまうと、外耳炎になる恐れもありますので優しく拭き取る事を心がけましょう。
関連リンク:ぷにわんモールで買えるシャンプー・リンス製品一覧
4.犬がシャンプーを嫌がる理由とは?
1)水に濡れるのが怖い
犬は犬かきをして泳ぐことができますし、一般的には水が好きなイメージがあります。
でも、実はすべての犬が「水が好き」というわけではありません。
犬種や性格も関係しますし、体が濡れることを嫌がる子もいます。
また、同じ水でも、プールは好きだけどお風呂は嫌い(逆もあります)という子もいます。
2)音が怖かった
家で行う犬のシャンプーは浴室で行うことが多いと思います。
浴室は音が響きやすく、桶や椅子を動かした時のカタンという音やシャワーのジャーという音に、犬が過敏に反応して怖がってしまうことがあります。
3)目や耳に水やシャンプーが入ったトラウマの記憶
シャンプーをしたときに、目や耳に水やシャンプーが入ってしまい痛かった、怖かったという過去の嫌なことがトラウマとなり嫌いになっていることもあります。
4)お風呂での肛門腺絞りが痛かった
シャンプーをする時に肛門腺絞りを一緒にする方が多いと思います。
肛門腺絞りは、肛門付近をギュッと押すため、痛みに弱い子は肛門腺絞り=嫌な事と覚えてしまいます。
ですから、シャンプーのときに肛門腺絞りをすると、シャンプー=肛門腺絞り(痛いことをされる)というイメージになってしまい、浴室に入れた途端に逃げ回ってしまうことがあります。
5.嫌がらないシャンプーのやり方
シャンプーが苦手であっても、体を清潔にしてかゆみや皮膚病を予防するために月に1~2回はお風呂に入れる必要があります。 愛犬が少しでも嫌がらずにシャンプーをしてくれるために、飼い主さんができるシャンプーの仕方を紹介していきます。
1)足から順番に慣らしていく
水やお湯をかけられることが苦手であれば、いきなり体にかけてしまうのではなく、後ろの足、お尻を流してから、徐々に胸の近くを流していきましょう。
体の端から徐々にかけてあげることで、心の準備ができるので、少しかもしれませんが「怖い・嫌だ」というストレスを和らげることができます。
2)水やお湯を桶に入れておく
シャワーの音を怖がってしまう場合は、お湯を桶などに入れてできるだけ音が鳴らないようにかけてあげましょう。
3)目や耳に入らないように注意
水やお湯が目に入ると痛かったり、鼻に入ると息が出来なくなる子がいます。
ですから、目や鼻に入らないようケアしてあげましょう。
また、シャワーの勢いも嫌いな子が多いようです。
このような場合は、手ですくって顔を洗ったり、勢いを弱くする等の方法でやってみましょう。
4)熱くないように温度を調整する
シャワーの温度は、37〜38度くらいに設定しましょう。
人では少しぬるいと感じる温度ですが、40~42度(人がお風呂で使う温度)のお湯をかけてしまうと、やけどをしたり、びっくりしてしまうことがあります。
シャワーの温度はしっかり確認をしましょう。
シャワーの初めは冷たい水や熱湯が出ることもあります。
犬にかける前に自分の手で冷た過ぎない・熱すぎないことを確かめてからかけてあげましょう。
5)力を入れすぎないで優しく洗う
ゴシゴシと力を入れてしまうと、犬は痛いと感じてしまいます。
また、爪を立ててしまうと皮膚の傷や赤みなどの原因になるので、力を入れすぎずに優しく洗うようにしてください。
暴れたり鳴いたりしても、「ダメでしょ、すぐ終わるからいい子にしなさい」などと怒らないようにしてください。
怒る、叩くなどをすると、シャンプーを怖がったり嫌いになったりします。
「大丈夫、怖くないよ、いい子だね」と優しく褒めるように声をかけてあげましょう。
6)時間をかけ過ぎない
シャンプーをするとき時間をかけすぎないように注意しましょう。
シャンプー全体のプロセスには①洗う②拭く③ドライヤーという3つの工程があります。
シャンプー全体の時間が長いと犬は疲労を感じたり、場合によっては過度のストレスを感じてしまいます。
一定年齢以上の犬のシャンプーを依頼されたトリマーさんの中にはストレスによるトラブルを避けるためお断りする方もいるようです。
自宅でもシャンプーの時間のかけ過ぎは禁物です。
手早くシャンプーを終えられるようにしてあげてください。
6.犬がシャンプーを苦手にならないようにするトレーニングを取り入れてみよう
ドッグトレーナーの鈴木さんがお風呂場への慣れさせ方から解説しています。
【プロフィール】
鈴木拓真
麻布大学獣医学部動物応用科学科卒業。
スタディ・ドッグ・スクール所属のドッグトレーナー。
Point:トレーニングをする前に大事な心構え
犬によって異なりますが、何か物事に慣らすには時間がかかります。
また、実際に慣れたかどうか、人が判断することはなかなか難しいです。
大切なこととして、飼い主が犬の気持ちを正しく読み取りながら地道に練習するということ。
例えば、犬が怖がったり嫌がっているとき、
・犬の尻尾が下がる
・耳を後ろに傾けている
・体を小さくしている
・すみっこに寄っている
・逃げ出そうとしている
など
のサインを示すことがあります。慣らしている練習をしているつもりでも、毎回このような反応では、嫌がる経験ばかりすることになって逆効果です。
慣らす練習を上手く進める上で、わかりやすい判断基準となることは、「食べ物を食べるかどうか」です。
気持ちに余裕があれば、食べてくれるはずです。食べる事に夢中になっているようなら、慣れてきている証拠ですので、覚えておきましょう。
また、次の練習に進む判断基準にしてください。
※慣らす練習は、予防のトレーニングになりますので、ぜひ嫌いになる前の子犬のうちから行う事をおすすめします。
Step1:シャワーを嫌がらない練習
1.お風呂場で朝(晩)ごはんをあげよう
お風呂場、洗面所など、犬を洗うスペースで朝ごはんや晩ごはんをあげましょう。
まずは、シャンプーする場所を好きになる様にしましょう。
犬は状況をよく見て覚えているので、その場で自分にとって嫌なことが起こった経験を繰り返せば、その場自体を嫌いになってします。
中には、すでにお風呂場に行きたがらない犬もいるかもしれません。犬が自ら進んで入っていくようになるまで繰り返してください。
2.シャワーの音を聞かせながら朝晩ごはんをあげる
次は、シャワーの音を聞かせながら、ごはんをあげる練習です。
音を気にせずどんどんと食べてくれるようになるまで繰り返す事です。
もし、毎回お風呂場から逃げてしまう場合は、リードを付けるか、扉をしめて練習するようにしてください。
Step2:ドライヤーを嫌がらない練習
犬からすると、ドライヤーは大きな音がして風が向かってくる恐ろしいものと思うかもしれません。
一度苦手意識を持ってしまうと、そこから克服させるのは至難の業。
第一印象をよくしましょう。「ドライヤー=食べ物がもらえるもの」そして、だんだんとドライヤーは気持ちが良いものと感じてもらえるようにしましょう。
1.知育玩具を用意する
コングを上手く活用して、長時間食べ続けられる(夢中になれる)ものを用意します。
ふやかしたフードを詰めても構いませんし、ペースト状食べ物と、ドッグフードをまぜて入れて、取り出しづらいようにしましょう。
2.人が髪を乾かすとき、一緒に犬を連れていく
多くの人は毎日ドライヤーを使用すると思います。
その時に犬を一緒に連れて行って、ドライヤーを使っている人の足元で知育玩具をあげておきましょう。
そうすることでドライヤーの音、風に慣れていきます。
3.ドライヤーを受け入れる
家の中で犬にリードを付けて、足で軽く抑えた状態で、ドライヤーの風を遠くから当てましょう。
この時、やさしく声をかけてあげたり、撫でられることが好きな犬は、ゆっくり毛並みにそって撫でてあげるとよいでしょう。
ドライヤーを気持ちがいいものを思ってくれることが理想なので、はじめは遠くから、徐々に近くで当てても嫌がらないように慣らしてあげましょう。
7. シャンプーをするときは愛犬の気持ちを第一に
犬はなぜ自分がシャンプーをされているかわかりません。なので、シャンプーをされることはかなりのストレスになってしまいます。 シャンプーを嫌いになる理由と嫌がらないやり方を知って、愛犬がシャンプー嫌いにならないように、常に愛犬の気持ちを考えてシャンプーをしてあげるようにしましょう。
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