犬のブラッシングは見た目を整えるだけでなく、愛犬が健康に過ごすために大切なケアです。 正しい犬のブラッシングのやり方や頻度、道具などを覚えて、愛犬の快適な生活を送りましょう。
1.犬のブラッシングの目的・必要性とは?
愛犬のきれいな毛並みを保つためには、犬のブラッシングは欠かせません。 しかし、犬のブラッシングには「毛並みを整える」以外にも3つの目的があります。 どの目的も愛犬が健康維持するために大切なことばかりなので、知っておきましょう。
1)健康チェック
ブラッシングで頻繁に愛犬の体に触れることにより、皮膚病や腫れ、しこりといった異常に気付きやすくなります。
ブラッシングをしながら体を見ることで健康チェック(病気の早期発見)になるのです。
また、犬の体についた寄生虫も発見しやすくなるので、ノミやダニによって引き起こされる皮膚炎などの病気の予防にもなります。
2)熱中症の予防
被毛の長い犬種は、毛が抜けても他の毛と絡まって体表に残ったままになってしまいがちです。
そうなると通気性が悪くなり、熱が体にこもってしまって熱中症になるリスクをあげてしまいます。
ブラッシングをして抜け毛を取り除き、通気性を良くして熱を放散することで熱中症を予防することができます。
3)スキンシップ
犬のブラッシングには皮膚を刺激して血行を促進する、マッサージのような効果があり、リラックスさせることができます。
優しくブラッシングすることが愛犬とのスキンシップになり、より深い信頼関係を築くことができます。
2.犬のブラッシングの適切な頻度は?
犬のブラッシングは、できれば毎日行うことが理想です。 しかし、「忙しくて時間を取れない」「犬がブラッシングを嫌がって大変」などの理由で毎日のブラッシングが難しいという方もいるでしょう。 そういった場合は最低でも短毛種で週に1~2回、長毛種は2~3日に1回ほどの頻度で行うようにしましょう。 また、犬の被毛にはダブルコートとシングルコートという種類があります。 ダブルコートの犬には換毛期(かんもうき)があるので、抜け毛が増える春と秋にはこまめにブラッシングをしてあげましょう。
ダブルコートとシングルコートの違いを以下で解説します。
1)ダブルコート
ダブルコートの犬は太くてしっかりしたオーバーコートと、柔らかくふわふわしたアンダーコートの2重構造の被毛を持っています。
オーバーコートは硬い毛質なので皮膚を保護するような働きがあり、アンダーコートは柔らかい毛質で保温効果や紫外線から皮膚を守る働きがあります。
アンダーコートは夏と冬で生え変わり、夏には通気性の高い毛が、冬には保温性の高い毛が生えます。
そのため、生え変わり期(換毛期)の春と秋には大量の毛が抜けます。
ダブルコートのおもな犬種は、ゴールデンレトリバー・柴犬・ロングコートチワワ・ポメラニアンなどです。
2)シングルコート
シングルコートの犬はオーバーコートのみでアンダーコートは生えていません。
そのため換毛期がなく、被毛は一定のペースで生え変わります。
これは、その犬種の生まれた地域が暖かい気候のため保温効果を必要としないから、と言われています。
シングルコートのおもな犬種は、プードル・ヨークシャーテリア・スムースコートチワワなどです。
3.犬のブラッシング前に必要な準備は?
犬のブラッシングをするうえで重要なのがブラシ選びです。 愛犬の被毛の種類に合わないブラシを選んでしまうときれいに仕上がらず、さらには痛い思いをさせてしまうことがあります。
犬のブラッシングに使用するブラシの種類
犬のブラッシングに使用するブラシにはいくつか種類があります。それぞれの特徴を把握して、愛犬に合ったものを使用しましょう。
- スリッカーブラシ -巻き毛・長毛種・ダブルコート向き-
- ピンブラシ -長毛種向き-
- ラバーブラシ -短毛種向き-
- 獣毛ブラシ -艶出し用-
犬のブラッシング用として一般的なブラシです。
針金のように細い“くの字”型のピンが密に並んでいて、抜け毛をしっかりかき取ってくれます。
プードルのようなカーリーコート(巻き毛)の犬種や長毛種、ダブルコートの犬種に向いています。
人間のヘアブラシに似た形状のブラシです。
スリッカーブラシよりもピンがやや太く、ピン同士の間隔が大きいことが特徴です。
被毛が繊細でスリッカーブラシだと切れ毛が発生する犬はピンブラシに替えてみるのもよいでしょう。
体に触れるピンの部分がゴムでできているブラシです。
ゴム製のため肌に刺激が少ないのが特長で、ブラッシングが苦手な犬の入門用にも向いています。
通常のブラシ型以外にグローブタイプのものもあり、愛犬を撫でるようにブラッシングができます。
豚などの獣毛を使用したブラシです。
フケやほこりを取り除き、毛艶をよくする効果があります。
他のブラシと併用して、ブラッシングの仕上げとして使用することもあります。
犬をブラッシングするときにあると便利なもの
犬のブラッシングをすると抜け毛が散らかります。
すぐ掃除ができるよう、「掃除機」「フローリングワイパー」「粘着ローラー」をあらかじめ準備しておくとよいでしょう。
カーペットについた抜け毛がなかなか取れない時は、カーペットに塩をまいてから掃除機をかけるときれいに取ることができます。
カーペットに塩が残っていると、犬が舐めてしまった時に体調を崩す可能性もあります。まいた塩はしっかり取り除きましょう。
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4.犬のブラッシングのやり方・注意点
ここから、犬のブラッシングの正しいやり方と注意点を説明していきます。
犬のブラッシングのやり方
犬のブラッシングは首の後ろや背中など、犬が触られても嫌がりにくい部位から始めます。
愛犬が触られるのを嫌がる体の末端(顔・足の先など)は最後におこなうようにしましょう。
手に力が入りすぎないようにブラシをやさしく握り、毛の流れに沿ってゆっくりとブラッシングしていきます。
長毛種は毛の根元をおさえてブラシをかけ、肌への刺激を減らしてあげるとよいでしょう。
全身ブラッシングできていなくても、愛犬が飽きたり、嫌がったりするようすがあれば中断してかまいません。
無理に続けるとブラッシングを嫌いになってしまう恐れがあります。
出来なかった部位は次回に優先的にブラッシングをかけてあげるといいですね。
犬のブラッシングの注意点
- ブラシがうまく通らない時
- ブラッシングは室内で
もつれがあってブラシがうまく通らない時は引っ張ったりせず、優しくゆっくり梳かすようにしましょう。
また、ブラシで強く地肌をこすってしまわないように注意してください。
長毛種の犬や換毛期はブラッシングをするとかなりの量の毛が抜けます。
だからといって室内が散らからないよう屋外やベランダでブラッシングをするのは避けましょう。
近所の家に抜け毛が飛んでいってしまうと、非常に迷惑になります。
また場合によっては動物愛護法に違反していると判断され、処罰の対象となる可能性もあります。
毛玉ができたときのほぐし方
毛玉ができやすい犬は長毛種で、お手入れのポイントは毛玉をつくらないことです。
もし毛玉が出来てしまった場合は、スリッカーを用いてゆっくり少しずつほぐしていきましょう。
この時に力を入れ引っ張ってしまうと皮膚を傷めて犬がブラッシングを嫌いになる可能性がありますので、注意しましょう。
お手入れの時にはスリッカーを正しく持つことが重要です。
親指と人差し指、中指で軽く持ち、残りの指を添えるように持つと上手にお手入れが出来ます。
犬の体に対し平行にスリッカーをあて、体のラインに沿うように角度を調整し、毛玉の毛先からほぐしていきましょう。
5.犬がブラッシングを嫌がるときは?解決法を紹介
ブラッシングを嫌がる犬の多くは、痛い思いを経験しています。毛を引っ張りすぎていないか、ピン先が地肌に強く当たっていないかなど、ブラシのかけ方を見直しましょう。 また、押さえつけて無理やりブラッシングをするのもやめましょう。 散歩に出かけた後など、愛犬が満足して気分がいいときにチャレンジしてみると意外と受け入れてくれることがあります。 ブラッシングが終わったらおやつをあげるなど、楽しみを作るのもよいでしょう。
6.犬のブラッシングにやりすぎってある?
ブラッシングは毎日おこなうのが理想なので、頻度においてはやりすぎということはありません。 ただし、一回のブラッシングに時間をかけすぎないよう注意が必要です。 ブラッシングにかける時間は長くて20分程度、途中で愛犬が嫌がる素ぶりを見せたらすぐに終わりにしましょう。 ブラッシングは毎日完璧にやりとげる必要はありません。 愛犬、飼い主さん共に無理なく楽しく続けられるようにしましょう。