犬を迎えると『社会化トレーニング』という言葉を耳にすることがあります。犬の飼い主になると多かれ少なかれ、この「社会化トレーニング」という言葉に向き合わなくてはならないようです。 今回は犬の「社会化ってなに?」という方のために、『犬の社会化・社会性』についてご説明していこうと思います。
犬の「社会化・社会性」とは?
『社会化』とは、社会学の用語で、『子供やその社会の新規参入者が、その社会の文化、特に価値と規範を身に付けることを指す。遺伝子により先天的に獲得されたものではなく、学習により後天的に獲得されるものである。(Wikipedia引用)』と定義されています。 子どもの社会化と同様、犬の社会化も人と一緒に暮らしていく上で、できる限り不安やストレスを感じないで生活していくことができるよう、その「犬生」において順応しなくてはならないことに対応できるよう、第一社会化期(生後3~12週)において社会性を身に着けることが必要とされています。
その「順応しなくてはならないこと」の具体例は以下のようになります。
- 様々な人(男・女・大人・老人・子供・郵便屋さん・獣医さんなど)
- 犬(大きさ・様々な犬種)
- 音(洗濯機・ドライヤー・掃除機・サイレン・雷など)
- モノ(自転車・車・掃除機など)
- 環境(公園・病院・サロン・電車など)
- 触られる事(お手入れ・病院での治療・首輪やハーネスの装着等)
これらを経験すれば良いのではなく、その経験が犬にとってポジティブで良い記憶やイメージとなる事が大切です。
何のために、犬の社会化トレーニングをするのか?
次の犬の第二社会化期(1歳半から2歳頃まで)では第一社会化期(生後3~12週)の「ポジティブで良い記憶やイメージ」を定着させる必要があります。なぜなら、ある経験の「ポジティブで良い記憶やイメージ」が定着していなければ、成犬になってからの突発的な他の経験や学習などから簡単に今まで記憶やイメージが良かった経験の認識が変わってしまうことがあるからです。 例えば、今まで気にならなかった「黒い服の人」もたまたま一人の人に驚かされた、不快な気持ちになった経験があれば、似通った「黒い服の人」に対しても不必要または過剰に警戒したり、苦手になる場合があります。ですから、ある環境下に置かれた時に犬自身が良い事が起きる予測が出来て、更に良い選択を自ら進んで出来るように、私たちは飼い主としてトレーニングさせることが必要です。 このトレーニングにより、社会化を促し、社会性が身に着くことで、飼い主が望まない、困ってしまうといったワンちゃんの行動が軽減されます。更に、犬自身がストレスを乗り越えられる力を身に着け、人間との生活への順応性が高まるようになるでしょう。 個々に生まれ持った気質や個性は、先天性であることがあります。しかし、第一社会化期(生後3~12週)や第二社会化期(1歳半から2歳頃まで)の経験が気質や性格に大きな影響を与えることが分かっています。ですからこれら2つの時期における「社会化トレーニング」がとても重要なのです。