皆さんは犬の「耳血腫」を見たことがありますか?柔道家やお相撲さんの耳がぷっくりと腫れて変形している状態が耳血腫です。実は同様のことが犬にも起こります。 今回は犬の耳血腫について基礎知識や危険性をまとめてみました。
1. 犬の耳に血種ができるのはなぜ?
犬はストレスや不快感、外耳炎などによるかゆみなどが原因で、頭部を激しく振ったり、耳を足で掻いたり何かに擦りつけたりします。このような衝撃により、耳介(一般的に耳と呼ばれる軟骨でできている部分)の中で出血が起きます。この血液が、皮膚と軟骨の間に溜まって腫れてしまう状態が耳血腫です。 耳の皮膚が内側から盛り上がるように膨張してきたり、耳全体が肥大化するなど、耳の形自体が変化してきます。
2. 犬の耳血腫の治療法は?
病院では、血腫の中に溜まった血液を針などで吸引する治療が行われます。 しかし、この治療だけ行うと、一時的に腫れがひいても、しばらくするとまた血液が溜まり再発することがあります。このような時は耳に局所的なステロイド注射をすることで炎症を抑えることもあります。また、症状によっては血腫を切開して、再発しないように縫合処置をすることもあります。 そして、耳血腫に他の病気(耳のかゆみの原因であるマラセチア性皮膚炎など)が見つかった場合には、そちらも並行して治療します。
3. 犬の耳血腫は隠れた病気のサインかも…
耳血腫ができた時に最も重要なことは、血腫を引き起こす原因を見つけることです。 頻繁に耳血腫が起こる犬は、マラセチア性皮膚炎や耳ヒゼンダニ感染症、外耳炎や中耳炎といった病気を併発していることが多いようです。また、アトピー性皮膚炎や食物性アレルギーなどが原因になることもあり、その場合は基礎疾患をしっかりと治療することが必要です。 非常に稀ですが、一見血腫に見えても、ポリープや悪性の腫瘍といった深刻な病気が隠れている可能性もあります。自身の判断に委ねず、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。
4. 耳血腫を発見したら、すぐに動物病院へ行こう
耳血腫は、犬が痛がらないので大したことないと間違った判断をしてしまい、放置してしまう飼い主さんもいるようです。ですが、放置することにより、耳血腫も、耳血腫に隠れている病気も進行してしまう危険性があります。その結果、皮膚の萎縮などの耳の変形が残ることがあります。 耳血腫を発見した時は早めに病院へ連れていき、診断と治療を受けることが必要です。