子犬を迎えたら散歩に連れて行きたくなりますね。 しかし、すぐ散歩に連れて行ってはいけません。 実は子犬を散歩につれていくためには十分な準備が必要なのですが、よく知らない方が多いようです。 犬は散歩をしないと、健康を維持増進できない、社会性を学習できない等の問題が起こってしまうかもしれません。 そこで今回は、子犬のお散歩デビューの正しいタイミングや必要な準備等について解説します。 その前に、犬に散歩が必要な理由から確認してみましょう。
犬に散歩が必要な3つの理由
犬に散歩が必要な理由は3つあります。
①運動不足の解消
散歩をすることで、犬は運動不足を解消することができます。 運動不足は、肥満や筋力低下などの原因になります。 肥満は糖尿病や関節病等を、筋力低下は震えや姿勢の崩れ等を引き起こすことがあります。 愛犬に健康でいてもらうために散歩で運動不足の解消をしましょう。
②ストレス発散
犬は散歩でストレスを発散することができます。 散歩の途中でいろんな匂いを嗅いで本能的欲求を満たすこと、他のわんちゃんとのコミュニケーションを楽しむこと等がストレスの解消になります。 ストレスの解消ができないと、犬が自傷行為や問題行動を起こす場合があります。 散歩をしてストレス発散させてあげましょう。
③社会性を身につける
散歩によって、犬は社会性を学習することができます。 散歩では、家の中で体験出来ない「飼い主以外の人や他の犬を見る」「車の音を聞く」「風を感じる」等を経験します。 これらの様々な経験が犬の社会性の習得に役立つと言われています。私たちのコミュニティで暮らしていくためのルール(他の犬とすぐ仲良くできる・飼い主との主従関係を理解できる等)、いわゆる社会性を学ぶ良い機会の一つが散歩なのです。 そのため、犬が社会性を身につけるのに散歩は欠かせないものなのです。
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子犬の散歩デビューは3回目の混合ワクチンが終わって2週間後から
では、子犬の散歩デビューをしても良いタイミングはいつなのでしょうか?そのタイミングは
「3回目の混合ワクチン接種の2週間後以降」です。 それは、3回のワクチン接種から2週間経過しないと、病気に対する抗体が安定せず、外を歩かせるだけで犬が病気になってしまうことがあるからです。 特にワクチン接種から2~3日間は犬の体調が不安定な状態になっています。家の中であっても、激しい運動やシャンプー、トリミングなどの体力を消耗することはやめましょう。 また、動物病院によっては、ワクチンプログラムが2回で終わることもあります。 その場合、2回目の混合ワクチン終了後の2週間後がお散歩デビューのタイミングになります。 ワクチン接種をしてもらう動物病院にワクチンプログラムの最後の接種がいつ頃になるか聞いておくと良いでしょう。
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2回目のワクチン接種が終わったら「抱っこ散歩」してみる
2回目のワクチン接種が終わったら、「抱っこ散歩」で愛犬を外の空気に触れさせましょう。 なぜなら、3回目のワクチン接種を待っていると、大体の犬が新しい刺激に順応できる「社会化期(生後3~12週)」が終了してしまうからです。 2回目のワクチン接種後から抱っこ散歩をすることで、社会化期間中、安全に外の新しい刺激に慣れさせることができます。
抱っこ散歩の仕方
抱っこ散歩は、子犬を抱っこして家の周辺を5~10分歩きます。 抱っこ散歩では地面におろしたり、不特定多数の人や他のわんちゃんと触れ合わせたりしてはいけません。犬の抱っこに慣れていないという方は、犬用抱っこひも(スリング)や犬用キャリーバッグを使うといいでしょう。 他のわんちゃんや人通りの多い場所や車がよく通る道などは、外に慣れていない子犬にとって刺激が強いので避けましょう。
子犬のお散歩デビュー前に必要な首輪やリードに慣れさせるためのトレーニング
愛犬に首輪やリードに慣れてもらうためにトレーニングをしましょう。 子犬に初めて首輪やハーネスつけてみようとすると、大半の犬は怖がってしまいます。 さらに、無理矢理につけようとすると、もっと怖がって嫌いになり、首輪を着ける時に噛んだり、吠えたりするようになってしまいます。 どのようにして、愛犬に首輪やリードに慣れてもらったら良いのか?知りたい方は、ほめほめドッグトレーナーの由香さんによる解説動画をご用意していますので、こちらをご覧ください。 この動画を参考にして、愛犬にリードや首輪を好きになってもらいましょう。
散歩デビュー前に室内で練習することがおすすめ
練習をしないまま、散歩を始めてみよう!と思っていきなり外に出ても、犬はどうしたらいいのか分かりません。 ですから、散歩デビューの前に家の中で散歩の練習をしておく必要があります。
~練習方法~
- 犬にリードをつける
- 愛犬の目を見ながら名前を呼ぶ
- 近づいてきたら「いい子!」と褒めて、フードをあげる
これらの3ステップが室内での散歩練習の基本です。 練習に集中させるために、犬の興味をひくものは片付けておくといいでしょう。
お散歩デビューの時に覚えさせておきたい2つのしつけ
お散歩デビューまでに、愛犬が覚えておいた方が良いしつけに「誘導」と「アイコンタクト」があります。 「誘導」と「アイコンタクト」をマスターさせることで、拾い食いや他のわんちゃんへ吠えることなどのトラブルを防ぐことすることができます。動画で解説しているので、参考にしてみてください。
犬に散歩を好きになってもらうコツ
犬に散歩を好きになってもらうコツは2つあります。
- ご褒美を用意する
- 散歩ルートを変える・散歩の途中に公園で遊ぶ
1つ目が、ご褒美(フード)を用意することです。 犬にとって 「知らない人・動物・車・音等=嫌なモノ・コト」 であることを分かってあげましょう。 そこで、「知らないモノ・コトに出会う散歩」の時にフードを貰えると「散歩に行くと美味しいものがもらえる⇒散歩はいいこと!」と学習してくれます。 2つ目が、散歩ルートを変えたり、公園で遊んだりすることです。 皆さんはいつも同じ道を歩いていると飽きることがあると思いますが、犬も同じなんです。 そこで、散歩の道順を変えたり、たまに公園に寄ってみたりすると、「おっ、今日はいつもと違うな!」と愛犬は散歩に興味を持つようになり、散歩をもっと好きになってくれます。
犬の散歩に必要な物
ここから、犬の散歩に必要な物を説明いたします。
- リード+首輪orハーネス
- ウンチ袋(エチケット袋)
- 水+容器
- ウェットティッシュ
- ご褒美(フード)
- バッグ
- 迷子札
散歩に行くと犬は突然走りだしたり、噛みついたりすることがあります。 このようなトラブルを飼い主がコントロールするために、リードと首輪(ハーネス)が必要です。 特にノーリード(リードを着けないこと)は法律で禁止されていますので注意しましょう。 首輪orハーネスは、リードをつけるために必要です。子犬のお散歩デビューの際には、犬の体に負担の少ないハーネスを選んであげましょう。 しつけをする際には首輪の方が良いとされていますが、使いこなすのが難しいので、迷ったら専門家に相談するのが良いかもしれません。
散歩に行くとウンチをする犬が多いです。 ウンチを回収するためにウンチ袋が必要です。散歩中、犬によっては一度ではなく何度か排便するので何枚か用意しておくといいでしょう。 普通の袋では臭いが気になるという方は、市販で売られているうんちの臭いがしなくなるウンチ袋を使いましょう。
散歩をすると人間は喉が渇いて水を飲みたくなるように、犬も喉が渇きます。 この時に水をあげないとかわいそうですよね。 そのために、外で飲めるように水とそれを入れる容器を持って行きましょう。 実は、水は飲むためだけではなく、犬がおしっこをした時の臭い消しとしても使えますので、マナーの面からも散歩の必需品です。 最近は、ペットボトルのキャップの代わりに受け皿を付けられるタイプの商品が便利なのでおすすめです。
散歩をすると泥道を歩いたり、ウンチ・おしっこをしたり、犬は体を汚すことが良くあります。 そんな時にウェットティッシュがあればすぐに拭くことができるので大変便利です。 犬の身体に優しい刺激の少ないノンアルコールで無香料のウェットティッシュを選ぶといいでしょう。
散歩の合間に、ご褒美をあげることで愛犬に散歩は良いものなんだと学習してもらうことができます。 それ以外に、他のわんちゃんに吠えられたとき等、子犬にとって負担になるようなことが起きた時にご褒美を使って気をそらすという使い方もできます。 但し、散歩でご褒美をあげすぎると肥満になりがちなので、ご飯の量を考えながらご褒美をあげるようにしなくではなりません。
“お散歩グッズ”をひとまとめにできるバッグも併せて用意しておくと便利です。 片手で持つ「ミニバッグ」や両手が使える「ショルダーバッグ」「ウエストポーチ」「ボディバッグ」など、様々なバリエーションから好みのタイプを選んでみてはいかがでしょうか?
最後に「迷子札」についてご説明します。散歩をしていて愛犬が逃げてしまったとします。 逃げてしまった愛犬を誰かが見つけ保護してくれた時に、誰に連絡したら良いのか?分からないとその方は困ってしまいます。 そこで、愛犬の名前や飼い主の情報(名前・電話番号・住所等)を記載した「迷子札」が必要になります。このような場合を考え、愛犬と再会するために、迷子札を首輪やハーネスにつけておきましょう。
散歩の回数・時間・距離・時間帯の目安
お散歩デビューの時間の目安は5分程度です。これより長いと子犬には大きな負担になってしまいます。 徐々に5分→10分→15分…と時間を増やしていき、成犬になるころには次のような散歩の時間・距離になるくらいにしていきましょう。
サイズ | 回数 | 時間 | 距離 |
---|---|---|---|
小型犬 | 1日1回 | 15~30分/回 | 1~2km |
中型犬 | 1日1~2回 | 30分/回 | 2~4㎞ |
大型犬 | 1日1~2回 | 30分~1時間/回 | 3~4km |
※犬種、個体差、運動の得意・不得意によっては、目安の散歩時間で十分であったり足りなかったりすることがあります。散歩中に愛犬の様子をみて、時間や距離を調整してあげましょう。 何より大切なのは、「ネガティブな思いをさせないこと」です。 嫌がっているのにもかかわらず、健康のために毎日散歩に連れていくこと、悪天候の日も散歩をすることは止めた方が良いでしょう。 また、寒かったり暑かったりするのも犬に負担がかかります。夏や冬には散歩をする時間帯にも気をつけなくてはなりません。
- 夏の散歩時間帯:朝6時まで、夜21時以降
- 冬の散歩時間帯:朝8時から夕方18時の間
この時間帯を目安に散歩をしましょう。
散歩デビューで犬が歩いてくれない場合
子犬が初めて散歩をするとき、思い描いているようにスタスタと歩いてはくれないことが多いです。 なぜなら、「新しい感覚に戸惑ってしまう」「人や車などが怖い」からです。 このような時は、焦らずご褒美をあげながらゆっくり外の世界に慣らしてあげましょう。 もし、待っても動かない時は、抱っこ散歩に切り替えましょう。歩いてくれないからといって、無理矢理リードを引っ張ったり、怒ったりしてはいけません。散歩に対して嫌な思いをさらに強くしてしまいます。
まとめ
2回目の混合ワクチン接種が終わったら抱っこ散歩、3回目の混合ワクチン接種が終わって2週間後からお散歩デビューを始めましょう。 お散歩デビューでは、人や車、今まで聞いたことのない音など、初めての体験だらけで大きなストレスが子犬にかかります。 はじめは、外に出るのを嫌がったり怖がったりということがあるかもしれません。 それにも関わらず、愛犬を無理やり連れだしてしまうと、嫌なことをされたと認識してしまい、散歩や外に出ることを嫌いになってしまいます。 そんなことにならないためにも散歩中にフードなどをあげ、散歩は楽しいことと教えてあげることが大切です。 散歩が楽しいと子犬自身に学習してもらうには根気が必要な場合があります。 でも、飼い主さんが暖かく見守ってあげれば、わんちゃんも必ず散歩が楽しくなります。頑張りましょう!