「汚いし、口が臭くなるから愛犬がうんちを食べるのをやめさせたい」「愛犬がうんちを食べるのは衛生的に心配」 など犬の食糞について悩んでいませんか? 愛犬が自分のうんちを食べてしまう原因や対策が分からない方が多いようです。 この記事では、食糞行動をやめさせたいと悩んでいる方のために、犬の食糞行動の5つの原因と7つの対処法を解説していきます。
食糞とは?
食糞とは、動物が自分のうんち、または、自分以外のうんちを食べることです。 うんちを食べるという行為は人間の世界では考えられないことですが、動物の世界では生きるために必要な場合があります。
例えば…
コアラ
コアラの主食であるユーカリには毒が含まれています。 大人のコアラの腸にはユーカリの毒を分解する微生物がいるため、ユーカリを食べて体調を崩すことはありません。 しかし、赤ちゃんコアラの腸にはユーカリの毒を分解する微生物はいません。 なので、微生物を赤ちゃんに取り組む必要があります。そのために、赤ちゃんが親のうんちを食べ、腸にユーカリの毒を分解する微生物を定着させるのです。 こうして食糞することで、子供のコアラもユーカリを食べられるようになります。
うさぎ
うさぎは食糞することで生きるために必要な栄養を取り入れています。 体の構造上、うさぎは1回の食事ではすべての栄養を吸収できません。 まずは一度食べたものを盲腸で分解し、うんち(盲腸便)を出します。その盲腸便を食べて1回目では摂取できなかった栄養を体に取り入れます。
ちなみに、野生の犬は子供がいることがうんちのニオイでばれないように食糞をします。 けれども、ペットとして生活している犬には必要ありません。むしろ、不衛生であり病気のリスクを高めるので、食糞行動をしないようにするしつけが必要です。
犬がうんちを食べる食糞の5つの原因
犬がうんちを食べてしまうのは、以下のような5つの原因が考えられます。
- うんちをすると叱られると思っている
- ストレス・暇つぶし
- 食事量・栄養が足りていない
- かまってもらえると思っている
- 自分の居場所を清潔にしたい
それぞれを詳しく説明していきます。
1)うんちをすると叱られると思っている
飼い主さんに叱られないように食糞行動を起こすことがあります。 愛犬がうんちをする場所を間違えてしまった時や、うんちを食べてしまった時に叱ったことはありませんか? 犬は「うんちをする場所が違うこと」「うんちを食べたこと」に対して叱られたと理解することが出来ません。 うんちに関連したことについて叱ると、叱られたくないという思いで、叱られる原因であるうんちを食べて隠そうとしてしまうのです。
2)ストレス・暇つぶし
犬はストレスを発散・暇つぶしのためにうんちを食べることがあります。 飼い主さんとのコミュニケーション不足や、お留守番が多いなどの理由から退屈さを感じてしまい、それを食糞によって紛らわすのです。 特に好奇心旺盛の子犬は、飼い主さんといっぱい遊んでほしいと思っているので、かまってあげないとどんどんストレスが溜まってしまい、食糞してしまうことがあります。
3)食事量・栄養が足りていない
犬は空腹感・足りない栄養を補おうとして、自分のうんちを食べてしまうことがあります。 食事量・栄養が足りていないのは、以下のような可能性が考えられます。
- ごはんの量が少ない
- 与えているフードが体に合わず、消化不良で十分に栄養が吸収できていない
- 胃腸が弱い
- 子犬で消化器官が発達していない
- 老犬になって食べ物を消化する能力が落ちた
- 寄生虫や病気に感染して、消化器系の機能が低下している など
4)かまってもらえると思っている
飼い主さんにかまってもらうためにうんちを食べることがあります。 愛犬がうんちを食べてしまった時に、おもわず「あー!」とか「何してるの!」などの大きなリアクションをとったことはありませんか? 犬は人の言葉を理解することが出来ません。 食糞をした際の大きなリアクションを「喜んでもらえた!」「うんちを食べると来てくれる!」と誤って認識してしまうことがあります。
5)自分の居場所を清潔にしたい
自分のテリトリーを清潔に保つために、自分のうんちを食べてしまうことがあります。 寝る場所とトイレが近いと食糞をしてしまう傾向にあります。
自分でできる犬の食糞行動の対処法7つ
専門家に頼る前に、自分でできる犬の食糞行動の対処法には以下の7つがあります。
- うんちをすぐに片付ける
- ドッグフードを替える
- 食事の量・回数を変える
- 遊び・スキンシップを増やす
- 運動量を増やす
- 犬のテリトリーの環境を変える
- うんちをまずくする
これらの対処法について詳しく説明しています。
1)うんちをすぐに片付ける
愛犬がうんちを食べる前に片付けてしまいましょう。 一番簡単で最も効果があるため、食糞を直すために最初にすることをおすすめできる対処法です。 うんちを片付けるときのポイントは3つあります。
- 早く
- 静かに
- 片付ける姿を見られないように
2) ドッグフードを替える
愛犬の体に合うドッグフードに替えると食糞しなくなることがあります。 犬は肉食寄りの雑食性の動物と言われています。 そのため、炭水化物の割合が高いドッグフードは消化しにくく、消化できなかったドッグフードがうんちに含まれてしまうことがあります。 こういった場合、たんぱく質の割合が高いドッグフードに替えると消化しやすくなり、うんちからごはんの匂いがしなくなるのでうんちを食べ物と間違えることが無くなります。 ちなみに、「茹でたキャベツ」「ヨーグルト」「納豆(タレなし)」などの食べ物は腸内環境を整える効果があります。 ドッグフードのトッピングとして与えることで、しっかり消化できるようになることがあるかもしれません。ドッグフードを替える前に試してみるのもいいでしょう。
3)食事の量・回数を変える
食事の量・回数を変えることで食糞行動が無くなることがあります。 量・栄養が足りていない⇒1日のご飯の量を増やす 愛犬の体格が大きかったり、活発でよく動く子だったりすると、その分栄養が必要です。 ドッグフードのパッケージに記載されている量はあくまで目安なので、個体差・運動量によって変えましょう。 また、ドッグフードに付属で入っている計量カップで測ると量にばらつきが出ることがあります。重さをはかってから与えると良いでしょう。 消化できていない⇒1回のご飯の量を減らし、回数を増やす(一日のご飯の合計量は同じ) 消化できていないサインとして、軟便・下痢等があります。 フードがあっていない可能性も考えられますが、一度に与えるごはんの量を少なくし、回数を増やすことでしっかり消化できるようになることがあります。 健康的なうんちのかたさは「手で取るときに形が崩れず、トイレシートにほぼ汚れがつかないか」です。
4) 遊び・スキンシップを増やす
愛犬との遊ぶ時間やスキンシップを増やすことで食糞をしなくなることがあります。 なぜなら、愛犬がストレス発散できる、退屈な時間が少なくなるからです。 遊びだけでは疲れてしまうので、マッサージ効果のあるブラッシングもおすすめです。
5) 運動量を増やす
散歩の量を増やすことやドッグランや公園などで遊ぶことで、運動不足によるストレスが解消され、食糞行動が無くなる場合があります。 時間が取れない場合は、いつものお散歩コースでもスピードの緩急をつけて走ったり歩いたりすることで、愛犬がより楽しんでくれるでしょう。 ジャック・ラッセル・テリア、ボーダーコリー、コーギー等の犬種は他の同じサイズの犬と比べると、多くの運動が必要なことがあります。愛犬の様子を確認し、今の運動量で足りているか確かめてみましょう。
6)犬のテリトリーの環境を変える
犬の寝る場所とトイレの位置が近い場合は離すことも試していいでしょう。 もしスペースがあまりとれない場合は、仕切りを設置するだけでも効果があります。 この方法は、トイレの場所を間違えるようになる場合があるため、他の対処法を試してから行うことをおすすめします。
7)うんちをまずくする
市販で売られているビターアップルスプレー等をうんちにかけて「うんち=まずいもの」と認識させて、食糞させなくする方法があります。 けれども、この方法はあまりおすすめできません。 犬が「まずくされる前にうんちを食べればいいんだ」と覚えてしまい、スプレーをかける前にうんちを食べてしまうようになってしまうからです。
専門家(動物病院・ドッグトレーナー等)に相談して愛犬の食糞をやめさせる方法
食糞の原因が病気だと思われる場合は動物病院へ、自分でいろいろ試してみたけど結局直せなかった時にはドッグトレーナーへ相談しましょう。
動物病院で検査してもらう
寄生虫・病気による食糞が疑われる場合は、動物病院に行き獣医師さんに診てもらい治療しましょう。 愛犬のうんちの中に米粒のような白い粒々や、自分ではよくわからない何かがあったらすぐに動物病院にいきましょう。 動物病院に行くと、ごはんを食べる量やうんちの調子など、日々の生活で変わった所がないか聞かれるため、日頃から愛犬の様子をよく観察しておきましょう。 専門家による診察で病気以外での原因が判明することや、ドッグフードのアドバイスをもらえることもあるのでおすすめです。
ドッグトレーナーに相談する
犬のしつけのプロ「ドッグトレーナー」に相談しましょう。 ドッグトレーナーさんには、犬をしつけるノウハウと知識があります。 実際に愛犬を見て、適切なしつけやアドバイスをしてもらえます。
番外編(子犬限定):大人になるまで待つ
成長するにつれて消化器系が発達したり、落ち着くようになったりするので大半の犬が食糞をしなくなります。 ただし、子犬の頃にうんちを食べてしまう癖がついてしまうことで成犬になっても食糞を続けてしまうことがあります。 出来る限り子犬のうちに食糞の癖は直しておいた方がいいでしょう。
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犬がうんちを食べることで考えられる危険性
犬が食糞すると、犬が寄生虫病などにかかる、人に寄生虫病などが移る危険性があります。
犬が寄生虫病などにかかる
犬がうんちを食べることで、うんちに含まれる寄生虫の卵をまた体内に取り込んでしまいます。不衛生なものを摂取することによって、胃腸炎を発症する場合もあります。 さらに、自分のうんちだけでなく、他の犬のうんちを食べるようになってしまうと病気のリスクがさらに高くなってしまいます。
人が寄生虫や病気がかかる
犬のうんちに含まれる病原菌や寄生虫が原因で、人が病気になる場合があります。 犬が食糞をした後に人の顔を舐める等の行動で、病原体が人間の体の中に入り、感染症を引き起こします。 例.トキソプラズマ症、トキソカラ症など
まとめ
食糞は、犬の問題行動の1つです。 食糞をやめさせるためには、原因を見つけ出してそれぞれにあった対策をする必要があります。 けれども、犬のお世話に慣れていない人は、愛犬がどんな原因で食糞をして、どんな対策したらいいかわからないこともあると思います。 そんなときは、獣医師さんやドッグトレーナーさんなどの犬の専門家に見てもらうことをおすすめします。