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  • ごはん
  • 2025/06/24

獣医師が教える犬が「アボカド」を食べたときの症状と応急処置

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アボカドは非常に栄養価が高く「森のバター」と言われ、好きな人も多いのではないでしょうか。 しかし犬に与えると危険な症状に陥る可能性があります。 この記事では犬がアボカドを摂取したときの危険性や症状、応急処置を解説します。

この記事の監修

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犬が「アボカド」を食べてしまったら命にかかわるの?

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アボカドには「ペルシン」という天然の毒素が含まれており、この成分が中毒の原因となることがあります。 ただし、実際に犬や猫がこのペルシンによって重篤な中毒を起こすことは稀で、鳥類や牛、ヤギなどの反芻動物に比べると、感受性は低いとされています。 しかし、アボカドは高脂質のため、多量に摂取すると膵炎(膵臓の炎症)を引き起こすリスクがあります。 またアボカドの種は非常に大きく、犬が丸飲みした場合に食道や腸を詰まらせてしまう可能性があり、こちらの方が命にかかわる危険性があります。

出典:ANIMAL POISON CONTROL CENTER



もし犬が「アボカド」を食べてしまったらどんな症状がでるの?危険な症状とは?

犬がアボカドを食べた場合、体調に異常が見られないこともありますが、重症化すると膵炎や腸炎などの疾患を引き起こす可能性があります。

さらに、種を飲み込んでしまうと食道や腸で詰まり、激しい嘔吐や腹痛から元気が無くなるなどの症状が現れることもあります。

症状が軽い場合でも、数時間から1日経過してから悪化するケースもあるため、見逃さないよう注意が必要です。


危険な症状の場合の応急処置

嘔吐が止まらない、ぐったりしている、痛がっているといった明らかな異常が見られる場合はすぐに動物病院を受診してください。


特に種を飲み込んだ疑いがある場合は、症状が出ていなくても受診をおすすめします。

家庭で無理に吐かせるのはかえって危険です。

動物病院では催吐処置やレントゲン、超音波検査で種や腸閉塞の有無を確認し、必要に応じて内視鏡や手術で取り除きます。

膵炎や腸炎が疑われる場合は、点滴投薬が行われることもあり、ひどい場合は入院が必要です。


軽度な症状は?

食べた量が少なく、果肉の皮や種を食べていない場合は、無症状で済むケースもあります。

食欲や元気が普段通りであれば、すぐに通院しなくても大事に至らないケースもあります。

ただし犬の体質によっては体調が悪くなる場合もあるため、まずはかかりつけ医に相談するのが安心です。

もちろん下痢や軟便などの異常があれば、軽度でも早めの受診が望ましいです。


軽度な症状の場合の応急処置

食欲や元気が普段通りの場合は食事を控えて胃腸を休ませ、水分補給を心がけましょう。

その間に異常がみられた場合はすぐに動物病院で診察を受けてください。

特に高齢犬や子犬では免疫力が弱く体調を崩しやすいため、症状がなくても注意が必要です。


食べて時間が経ってから症状が発生することがあるため要注意

アボカド中毒の症状や膵炎・腸閉塞などのトラブルは、食べてすぐに出るとは限りません。

摂取後6時間以上経って嘔吐や食欲不振が現れるケースや、場合によっては24時間以上経ってからのこともあります。

とくにアボカドの種を飲み込んでいた場合、時間が経ってから腸内で詰まり、急に症状が現れる場合があります。

このため、少量でもアボカドを食べたことが発覚した場合は、いつでも病院に行けるよう準備をしておくことが大切です。


「アボカド」を食べてはいけない理由や原因となる成分

アボカドの中毒は主に「ペルシン」という毒性物質が関係しています。

ペルシンは天然の抗菌・抗真菌成分として植物が持っている化学物質で、鳥類や反芻動物(牛・ヤギ・羊)にとっては、少量でも命に関わるほど強い毒性を持ちます。

現在では犬や猫に対するペルシンの毒性は比較的弱いとされています。

しかし、毒性の強さはアボカドの種類によっても異なるため、リスクがゼロとは言い切れません。

さらに、大きな種によって起こる腸閉塞のリスクは中毒以上に高いため、現在でも犬にアボカドを与えることは推奨されていないのが現状です。


出典:Buoro IB, Nyamwange SB, Chai D, Munyua SM. Putative avocado toxicity in two dogs. Onderstepoort J Vet Res. 1994 Mar;61(1):107-9. PMID: 7898892.Dainton AN, He F, Bingham TW, Sarlah D, Detweiler KB, Mangian HJ, de Godoy MRC. Nutritional and physico-chemical implications of avocado meal as a novel dietary fiber source in an extruded canine diet. J Anim Sci. 2022 Feb 1;100(2):skac026. doi: 10.1093/jas/skac026. PMID: 35148409; PMCID: PMC8835640.

犬が食べられる野菜一覧

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犬にとって必要な栄養バランスは、総合栄養食のフードでほぼ満たされるよう設計されています。 与える時は量に注意し、あくまでおやつとして少量与える程度にしましょう。 おやつの量は1日の総カロリーの10%以内に抑えることが推奨されています。

出典:AMERICAN KENNEL CLUB


出典:Feeding Treats to Your Dog - WSAVA



にんじん

にんじんは犬にとって非常に安全な野菜で、甘みがあり嗜好性も高く、おやつ代わりに最適です。

ビタミンAの前駆体であるβカロテンが豊富に含まれ、免疫力の維持や目の健康に役立ちます。

与える際は皮をむき、やわらかく茹でてから細かく刻むかすりおろして与えます。

体重5kgの小型犬であれば、1日10〜20g(スティック2〜3本程度)までを目安とし、与えすぎには注意しましょう。


かぼちゃ

かぼちゃは食物繊維やビタミンE、カリウムを多く含み、犬の腸内環境を整える作用が期待できます。

特に便秘や軽い下痢の症状があるときに少量を与えると、腸内バランスをサポートする働きがあるため、多くの獣医師が推奨しています。

与えるときは、種と皮を取り除き、蒸すか茹でたうえでペースト状にし、小さじ1~2杯程度を目安にトッピングやおやつとして利用しましょう。

糖質が高いため、糖尿病や肥満気味の犬には控えめに与えるのが安全です。


さつまいも

さつまいもは自然な甘みがあり、犬が好む野菜のひとつです。

ビタミンC、食物繊維、カリウムが豊富で、便通の改善にも役立ちます。

ただし糖分が多いため、体重管理が必要な場合は少量に控えましょう。

皮をむき、蒸すか茹でてから柔らかくして、小さじ1〜2杯ほどを目安に与えてください。

甘みがあるため、常用は避けて特別な日に取り入れるのが理想的です。


ブロッコリーやレタス

ブロッコリーとキャベツは、ビタミンCや食物繊維が豊富なため、免疫力をつけたり腸内環境維持に役立ちます。

ただし、どちらも「ゴイトロゲン」という成分を含んでおり、大量に摂取すると甲状腺機能に影響を与える可能性があるため注意が必要です。

与える際は必ず加熱して細かく刻み、体重5kgの犬で1日10g程度を目安に、頻繁に与えるのは避けましょう。


犬が食べられない野菜一覧

以下に紹介する野菜はどれも犬にとって危険な食べ物です。

与えないことはもちろん、愛犬が誤って食べないよう届かない場所に保管するなど対策を心がけましょう。


玉ねぎ・ねぎ・にら

玉ねぎや長ねぎ、にら、らっきょうなどの「Allium属」の野菜は、犬にとって極めて危険です。

これらの野菜に含まれる有機チオ硫酸化合物は、犬の赤血球を破壊し、「溶血性貧血」と呼ばれる中毒症状を引き起こします。

症状は、食後数時間から数日以内に現れ、嘔吐、下痢、元気消失、歯茎の蒼白、呼吸の異常、さらには血尿や黄疸が見られることもあります。

少量でも重篤な症状を起こす可能性があるため、調理済みであっても絶対に与えてはいけません。


ニンニク

ニンニクも同じくAllium属に分類され、玉ねぎ以上に毒性が強いとされています。

少量でも赤血球を壊す働きがあり、貧血や嘔吐、食欲不振、ふらつき、呼吸困難などの症状を引き起こすことがあります。

乾燥させたガーリックパウダーやサプリメントにも中毒のリスクがあるため、完全に避けるべきです。


生のじゃがいも・芽・皮

じゃがいもの芽や緑色の皮、未熟な部分には「ソラニン」という天然の毒素が含まれており、犬にとって有害です。ソラニンを摂取すると、嘔吐、下痢、ふらつき、心拍の乱れ、神経症状などが現れる可能性があります。

加熱調理されたじゃがいもの果肉部分は少量であれば問題ありませんが、芽や皮は完全に取り除き、加熱してから与える必要があります。

未加熱のじゃがいもや芽のある状態は与えてはいけません。


トマトの葉・茎・未熟な実

熟したトマトの果実は少量なら安全とされていますが、葉・茎・未熟な緑色のトマトには「トマチン」や「ソラニン」といった毒素が含まれています。

これらは犬の神経系や消化器に影響を与え、よだれ、嘔吐、下痢、けいれんなどの症状を引き起こす場合があります。

家庭菜園などで栽培している場合は、誤食を防ぐよう注意しましょう。


出典:ASPCA – Toxic Foods for Dogs


環境省 飼い主のための ペットフード・ガイドライン

まとめ

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アボカドは犬にとって少なからず中毒のリスクがある果物です。 特に、種の誤飲や脂肪の影響には注意が必要であるため、与えることは推奨されません。 日頃から安全な食材をうまく取り入れて、毎日の食事やおやつタイムをもっと楽しく、健康的にしていきましょう。

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獣医師 原田瑠菜

獣医師、ライター。 大学卒業後、畜産系組合に入職し乳牛の診療に携わる。 その後は動物病院で犬や猫を中心とした診療業務に従事。 現在は動物病院で働く傍ら、ライターとしてペット系記事を中心に執筆や監修をおこなっている。

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