この記事では、セント・バーナードを飼おうと考えている方へ、セント・バーナードの特徴や性格、大きさ、値段相場、飼い方のポイントなどをご紹介します。セント・バーナード飼育の参考にしてみてください。
セント・バーナードの特徴
セント・バーナードはスイス原産の犬種です。 17世紀中頃のグラン・サン・ベルナール山道の峠にある宿の護衛と保護のために飼われていた大型のマウンテン・ドッグで、当時は正式な犬種名はなかったようです。 この犬種は、1695年以降の絵画に登場し、ラム酒を入れた小さな樽を首から下げている姿が描かれています。 このラム酒は、遭難者が飲むことで体を温め、救助を待つことを目的としています。 多くの人々がこの犬種によって雪山から救助されたと文献にも残っているようです。 近親交配により病気と先天性疾患が多い個体が増え、19世紀初めに絶滅の危機に陥りましたが、ニューファンドランドと交配したことにより、現在まで種を存続できています。 セント・バーナードという名称は、1884年にグラン・サン・ベルナールの修道院にちなんだサン・ベルナールから来ています。 日本では英語読みの「セント・バーナード」が定着しています。
セント・バーナードの被毛・抜け毛
セント・バーナードは「ロングヘアード」と「ショートヘアード」の2つのタイプがあります。
元々はショートヘアードのみでしたが、改良の過程で長毛も生まれました。
マイナス30℃にもなるアルプスの山中で遭難者を救助していた犬種のため、密度のあるダブルコートです。
抜け毛が多く、体も大きいのでブラッシングはなかなか大変になるでしょう。
JKC(ジャパン・ケンネル・クラブ)によると、毛色は地色がホワイトで、背やひばらには赤みがかったブラウンのブランケット(背にブランケットをかぶったような模様)があるものが好ましいとのこと。
赤みがかったブラウンには、ブリンドル(虎のような模様)や、茶色味を帯びたイエローも認められます。
胸、足、尾の先端、マズル・バンド(口の周りの白い斑)、ブレーズ(額の中央~鼻筋)やうなじはホワイトであるほうが好ましいようです。
セント・バーナードの性格
温和で穏やかな性格をしています。他の犬や子どもにも優しく接することができます。
賢さも特徴ではあるのですが、それゆえに頑固な面もあるようです。トレーナー等プロのアドバイスをもらうのも良いでしょう。
特に去勢していないオスはテリトリーを守ろうとする気持ちから、他の犬に対して攻撃的に出ることがあるので、適切な時期に去勢を行うか、社会化としつけをしっかり行いましょう。
セント・バーナードの大きさ
セント・バーナード 成犬の体高
JKCの規定によると、セント・バーナードの成犬時の体高はオス70~90cm、メス65~80cmが一般的です。
しかし、オスは外見のバランスが良く、身体的な動きにも問題がない場合はこの体高を越えても認められます。
セント・バーナード 成犬の体重
JKCの規定によると、セント・バーナードの成犬時の体重はオス約75kg、メス約66kgが一般的です。
セント・バーナードの値段・価格相場と選び方
セント・バーナードの価格相場は20万~30万円となっています。 あまりペットショップでは出会えない犬種のため、ブリーダーを探した方が良いでしょう。
セント・バーナードの選び方
セント・バーナードの子犬を選ぶときには、以下のポイントをチェックしましょう。
健康体かどうかのチェック |
・毛並みがきれいか ・口の中は綺麗なピンクで噛み合わせが良好か ・目ヤニはなくキレイか ・鼻は湿っているか ・耳の中に異常や異臭はなく綺麗に立っているか ・立ったときの肩や前腕・胸部ががっしりしているか ・お尻の周りが汚れていないか ・不自然な歩き方をしていないか ・抱き上げたときにずっしりした重みがあるか |
性格のチェック |
・元気に遊んでいるか ・遠くから声をかけたときに反応するか ・こちらに対し尻尾を振ってくれるか ・抱っこされたときにおとなしいか |
血統・将来の大きさのチェック |
・遺伝病やデメリットとなる特性を親や祖先・兄妹が持っていないか ・JKC発行の血統証明書はついているか ・数代先までファミリーツリーを確認できるか |
犬種の歴史からも遺伝性疾患は多く、股関節形成不全を持って生まれる個体が多いようです。成人以上の体重にもなる大きな体と、のんびりとした性格のため、関節に負担をかけないよう肥満に注意が必要です。
セント・バーナード 飼い方のポイント
ここでは、セント・バーナードをお迎えするときからしつけまで解説していきます。
お迎え時のポイント
子犬のお迎えに行く際には、必ずペットシーツを敷いたキャリーケースを用意しましょう。
安全に子犬を運べるよう、子犬の大きさに適した頑丈なキャリーケースを使ってください。
お迎え時には、食事やトイレの仕方、健康診断やマイクロチップの有無など、子犬の現在の状況を聞いておくことを忘れないようにしましょう。
かかりつけになる動物病院を事前に探しておくことで、お迎え後の健康診断などをスムーズに受けることができます。
セント・バーナードの子犬をお迎えする際には、以下のグッズを用意しましょう。
- サークルやケージ
- トイレトレー
- 首輪やハーネス
- リード
- 食器
- 給水機
- お迎え先で食べていたフード
- スリッカー・コームブラシ
- ペットヒーター(10~5月の場合)
- 爪切りやシャンプーなどのケア用品
- おもちゃ
- 除菌消臭剤 など
お迎え前には子犬が誤って飲み込んでしまわないよう、床に物はできるだけ置かない環境づくりをかかさないようにしましょう。
寒い時期・暑い時期にお迎えをする場合には、ペットヒーターやエアコンで温度管理をしっかり行ってください。
お迎え当日から3日ほどは、なるべくケージから子犬を出さず環境に慣れてもらいましょう。
初日~1週間はじっくりと様子を見て、その後にスキンシップをとっていくと子犬の愛犬に不安をあまり感じさせずに慣れさせることができます。
成長期・成犬期のポイント
セント・バーナードを飼育する際には、飼育や食事、運動やしつけなどさまざまなポイントを知っておく必要があります。ここでは、セント・バーナードと暮らしていく上でのポイントを解説します。
【飼育のポイント】
セント・バーナードは、非常に寒い山岳地帯で生活していた犬種のため、暑さには慣れていません。
熱中症にならないよう、室温管理に注意する、早朝・夜間に散歩に行く、冷感グッズを使用する等しましょう。
成犬になると成人程の体重になる非常に大きい犬種です。飼育スペースは十分に確保してあげましょう。
また、獣医師にかかる際、犬が高齢になった時を考えて、車を所有していると良いでしょう。
【食事のポイント】
大型犬であるセント・バーナードは、胃がねじれる胃捻転や腹部にガスがたまる胃拡張を起こしやすい犬種です。
胃捻転を発症すると血流の悪化で胃が壊死し、最悪の場合、命を落とすこともあります。
胃拡張・胃捻転は食後2時間以内の運動を控えることで予防できます。
もし食後お腹が膨れる、うつ伏せのまま元気がないような状態になった場合は、病院に連れていきましょう。
セント・バーナードは2年かけて成犬になります。食事の回数は消化器系の成長に合わせて変えていく必要があります。
成長段階に合わせたご飯の回数を表にまとめたので参考にしてください。
~生後6ヶ月半 |
4回 |
生後6ヶ月〜2歳 |
2,3回 |
2歳以降 |
2回 |
【運動のポイント】
セント・バーナードは穏やかな性格の子が多いため、フルスピードで走ったり、激しく遊ぶことはあまりないでしょう。
しかし、肥満防止のため、散歩は1日2回、1時間/回(1日2時間)することが理想です。
また定期的にドッグランへなどに通い、運動不足を解消してあげましょう。
子犬~若いうちはしっかりと運動させることで筋肉が発達し、関節のサポートをします。
しかし、シニア期以降に長時間の運動は関節の負担になる可能性があるので、様子をみてちょうどいい散歩・運動時間を見極めましょう。
【お手入れのポイント】
ダブルコートのセント・バーナードは、体の大きさもありブラッシングは時間と体力が必要です。
ロングヘアードの飼い主の中には、夏はサマーカットをする人もいるようです。
しかし、サマーカットをすると毛質が変わってしまう等のデメリットもありますので、慎重に検討しましょう。
また、耳が垂れているため、湿気がこもって外耳炎になりやすいです。耳のチェックは頻繫に行いましょう。
表にセント・バーナードに必要なお手入れをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
ブラッシング |
週に2~3回 |
シャンプー |
月1~2回 |
歯磨き |
毎日 |
爪切り |
月1~2回(爪が伸びていたら) |
耳掃除 |
頻繫にチェックし、汚れが気になったら掃除 |
【しつけのポイント】
セント・バーナードは賢い犬種で、教えたことを比較的すぐに覚えてくれるでしょう。
友好的な性格ということもあり、人に飛びついてしまうと犬に悪意はなくても相手を驚かせてしまったり、怪我をさせてしまう可能性があります。
ある程度ではなく徹底してしつけを行い、飼い主がコントロールする必要があります。
幼いうちからトレーニングを徹底し、飼い主がボスであることを学ばせましょう。
生後3~12週の時期は社会化期と呼ばれ、犬が様々な刺激に適応できるようになる期間があります。
この期間に他の人や犬と触れ合わせることで、社交性のある子に育てることができるので、パピーパーティやパピークラスに参加することをおすすめします。
トイレトレーニング |
決められた場所でトイレをできるようにする |
クレートトレーニング |
クレートに入ったまま大人しくできるようにする |
コマンドトレーニング |
「お手」「お座り」「伏せ」などのコマンドをこなせるようにする |
噛み癖のトレーニング |
噛んでよいもの・いけないものの区別できるようにさせる |
吠え癖のトレーニング |
無駄吠えをさせないようにする |
リーダーウォークのトレーニング |
引っ張ることなく、飼い主の横について散歩できるようにする |
まとめ
大きな体で優しい性格のセント・バーナード。大きな体で甘えられたら、ずっしりとした幸せの重みを感じられるでしょう。