日々、わんちゃんがお散歩や庭で植物に触れる機会は多いですよね。 公園や道路沿いでよく見かける植物も、実はわんちゃんにとって有毒な成分が含まれていることも。 また、おうちの中に飾る観葉植物も種類によってはわんちゃんにとって危険です。 この記事では犬が食べてはいけないもののなかでも、植物をメインに解説していきます。 飼い主さんが犬にとって危険な植物を把握しておくことで、愛犬の命を守ることにもつながりますので、ぜひ最後までご覧ください。 【犬にとって危険な植物一覧(五十音順)】 ・アイビー ・アジサイ ・アロエ ・イラクサ ・キキョウ ・ギンナン ・シクラメン ・スイセン ・スズラン ・チューリップ ・ツツジ・アザレア・シャクナゲ(ツツジ科全般) ・ナンテン ・パンジー・スミレ・ビオラ ・ヒガンバナ ・ヒルガオ・アサガオ ・フジ ・ポインセチア ・モンステラ・ポトス ・ユリ
アイビー
危険な成分:サポニン(葉や茎) サポニンは人間にとっては健康に良い成分であり、天然成分100%の洗剤などにも使われているので身近ですが、わんちゃんが口にすると下痢や嘔吐、口や目を痛そうにする等の症状が現れます。
アジサイ
危険な成分:クマリン誘導体、青酸配糖体(植物全体) 梅雨の時期に公園や道路脇でよくみかけるアジサイ。 わんちゃんが口にすると、ふらついたり興奮状態に陥る、過呼吸、嘔吐、痙攣、麻痺などの症状があらわれます。
アロエ
危険な成分:サポニン、バルバロイン、アントラキノン(皮下の乳液) 人にとっては健康成分が多く、観葉植物としても人気ですが、皮下の乳液は犬が摂取すると下痢、血尿、貧血の症状がみられます。
イラクサ
見た目はシソに似ており、空き地や公園などによく生えています。 セイヨウイラクサは抗炎症作用などの効果があるため、ペットフードやペット用サプリに含まれることもありますが、きちんと加工してあるため問題ありません。 しかし、わんちゃんがその辺に生えているイラクサをそのまま食べてしまうと、葉や茎に生えているトゲに蟻(ギ)酸と呼ばれるアリと同様の毒が含まれているため、皮膚炎や口腔内の炎症に繋がる恐れがあります。 その他、大量のよだれが出る、ふるえ、けいれん、呼吸困難といった症状が現れることもあります。 また、口に入れなくてもイラクサと接触すると細かいトゲが皮膚に付着し、痛みやかぶれを伴いますので、わんちゃんを近づけないことが重要です。
キキョウ
危険な成分:サポニン(根茎) キキョウの根や茎にはサポニンが含まれ、人間にとっては薬用成分となりますが、わんちゃんにとっては中毒症状を引き起こす成分です。 下痢、溶血性貧血、呼吸困難、意識障害などが起こります。
ギンナン
危険な成分:メチルピリドキシン(実) ギンナンに含まれる有毒な成分は、痙攣や意識障害を引き起こします。 また、殻ごと食べてしまった場合は、消化不良により嘔吐や下痢も発症します。 秋のお散歩では拾い食いしてしまわないよう、気を付けましょう。 ちなみに、加熱していても与えてはいけません。
シクラメン
危険な成分:サポニン配糖体(植物全体) 植物全体にサポニン配糖体という有毒成分が含まれているため危険ですが、特に球根に多く含まれているようです。 摂取してしまった場合、下痢や嘔吐などの症状がみられます。 摂取量によっては重傷となり、不整脈や痙攣の症状が現れ、最悪の場合命を落とす可能性もあります。
スイセン
危険な成分:リコリン、タゼチン、ガランタミン、 シュウ酸カルシウム(植物全体) 特に球根に有毒な成分が含まれています。 口にするとすぐに嘔吐や下痢、大量のよだれが出る等の症状が現れます。 その後、血圧低下や心不全などで命を落とす可能性があります。
スズラン
危険な成分:コンバラトキシン(植物全体) スズランに含まれるコンバラトキシンは、ほんの少量の摂取でも危険です。 スズランを挿していた花瓶の水もこの成分が流れ出ているため危険です。 摂取すると摂取後1時間以内に嘔吐や頭痛、血圧低下、心臓麻痺の症状がみられ、最悪の場合は死に至ります。
チューリップ
危険な成分:ツリピン(球根) 花や葉も危険ですが、特に球根の摂取には注意です。 嘔吐、下痢、心臓マヒ、皮膚炎を起こす可能性があります。 庭に植える場合はわんちゃんが球根を掘り返さないよう注意が必要です。
ツツジ・アザレア・シャクナゲ(ツツジ科全般)
危険な成分:アンドロメドトキシン、グラヤノトキシン等(葉や花、蜜) 公園や道路の植木によくある植物で、春先になると景色を鮮やかにしてくれます。 しかし痙攣毒を含んでいる植物で、致死量はわかっていませんが、摂取量が多いと最悪の場合数日で命を落としてしまう可能性があります。 特にレンゲツツジとシャクナゲは毒性が強いため、注意しましょう。
ナンテン
危険な成分:ドメスチン、ナンテニン、ヒゲナミン(植物全体) 小さい赤い実で、わんちゃんが好奇心から口に入れやすいかもしれません。 口にしてしまった場合、軽度の場合は嘔吐や下痢、食欲不振等の症状がみられ、重度の場合は呼吸困難や昏睡状態に陥る可能性があります。
パンジー・スミレ・ビオラ
危険な成分:ビオリン(根茎、種子) これらの植物(スミレ科)には神経毒が含まれています。 公園の花壇などでよく見る花ですが、わんちゃんが口にすると下痢、嘔吐、神経麻痺、心臓麻痺といった症状が現れます。
ヒガンバナ
危険な成分:リコリン(植物全体) ヒガンバナに含まれるリコリンは特に球根に多く含まれており、ほとんどの動物にとって有毒です。 人間でもたった10gで致死量に値するといわれています。 わんちゃんが口にすると嘔吐・下痢、呼吸困難を引き起こし、命を落とす可能性があります。
ヒルガオ・アサガオ
危険な成分:ファルビチン(種) 夏になると色々なところに咲いているアサガオ。 種は小さいので地面に落ちていても気が付かない可能性もあります。 摂取してしまうと嘔吐や下痢の症状がみられます。
フジ
危険な成分:ウェスタリン、シチシン、レクチン(植物全体) 少量であっても摂取すると、よだれが止まらなくなったり嘔吐、下痢、胃腸炎等の症状が現れます。 摂取量によっては呼吸不全や麻痺、昏睡などの命にかかわる可能性があります。 花にもレクチンという有毒成分が含まれているため、地面に落ちた花びらには注意が必要です。 また、花が咲き終わった後にできるさやと種が特に危険ですので、見ごろが終わっても注意しましょう。
ポインセチア
危険な成分:フォルボール(茎(樹液)、葉) クリスマスの時期になると飾る家庭も多いかと思いますが、ポインセチアの白い樹液は人間の皮膚にもよくありません。 わんちゃんが摂取すると嘔吐、下痢、皮膚炎、痙攣の症状がみられます。
モンステラ・ポトス
危険な成分:シュウ酸カルシウム(葉や茎) 葉の形や色味がおしゃれで人気の観葉植物です。 しかし、モンステラやポトスはサトイモ科であり、葉や茎に含まれるシュウ酸カルシウムをわんちゃんが摂取するとその結晶により口、舌、喉に炎症や腫れといった症状が現れます。 喉の腫れにより呼吸困難に陥ることもあります。
ユリ
犬にとって危険な成分はまだ特定されていませんが、植物全体のどの部分を摂取しても中毒症状がみられます。 ユリを挿していた花瓶の水も危険です。 2~6時間で嘔吐や食欲不振、震え、痙攣、腎不全等の症状が現れます。 上記の植物のほかにもわんちゃんにとって危険な植物は多数ありますので、散歩中に草を食べたがる子や、穴掘りが好きな子は要注意です。
わんちゃんが危険な植物を口にしてしまったら
【落ち着いて行動する】 もしわんちゃんが危険な植物を口にしてしまったら、飼い主さんは落ち着いて行動してください。 大きな声で驚いたり、無理やりわんちゃんの口を開けて取り出そうとすると、わんちゃんは取られまいと余計に口を閉じてしまったり、飲み込んでしまうからです。 「離して」「出して」等の口にくわえているものを離すトレーニングができていると安心です。 【動物病院を受診する】 危険な成分が含まれる植物がわんちゃんの口に入ってしまったことは事実ですから、動物病院を受診してください。 「いつ」、「どんな植物」を、「どのくらいの量」摂取してしまったのかを獣医師さんに伝えましょう。 もしわんちゃんが口にした植物の種類がわからない場合は、植物の一部残っているようなら、現物を持っていくと良いでしょう。 植物を持っていくのが難しい場合は写真を撮っておいて獣医師さんに見せるのもいいかもしれません。 【無理やり吐かせない】 飼い主さんで無理やり吐かせるのは窒息させてしまう等の危険がありますのでやめましょう。 獣医師さんが状況を見て、催吐処置や胃洗浄(全身麻酔)を行うか、対症療法(症状の緩和を目的とする処置)にするか等を判断します。
わんちゃんが危険な植物を口にしてしまわないために
【危険な植物からわんちゃんを遠ざける】
上記で紹介した植物は代表的な例ですが、これらを家の中に飾る時は、わんちゃんの手が届かないところに置く、わんちゃんが入れない部屋にのみ飾るといった対策が必要です。
お庭やベランダで栽培している場合は、対象の植物を柵で囲んだり、わんちゃんが庭やベランダにいる間は目を離さないようにしましょう。
【拾い食いをさせないようにする】
散歩時に落ちているものを口にしてしまうわんちゃんには、拾い食いをしないようトレーニングを行うとよいでしょう。
こちらの記事ではドッグトレーナーの解説動画でわかりやすくトレーニング方法をお伝えしていますので、ぜひ実践してみてくださいね。
関連記事:犬の拾い食いのしつけ方 ~ドッグトレーナーの解説動画付~
【番外編:なぜ草を食べたがるのか?】
散歩中に草を食べたがるわんちゃんもいると思います。
わんちゃんにとって害のない植物なら問題ないかもしれませんが、草が好きだからという理由以外にも何か草を食べたくなる要因があるのかもしれません。
以下の記事ではわんちゃんが草を食べる原因について解説しています。ぜひチェックしてくださいね。
関連記事:なぜ犬は散歩中に草を食べる?理由を最新の研究調査と一緒に解説
まとめ
まずは飼い主さんがわんちゃんにとって危険な植物を把握することが大切です。 今回紹介した、代表的なわんちゃんにとって危険な植物には特に注意し、家庭内やお散歩で近づけないよう注意しましょう。