この記事では、グレート・ピレニーズを飼おうと考えている方へ、グレート・ピレニーズの特徴や性格、大きさ、値段相場、飼い方のポイントなどをご紹介します。グレート・ピレニーズ飼育の参考にしてみてください。
グレート・ピレニーズの特徴
巨大な体にふわふわの被毛で存在感たっぷりのグレート・ピレニーズ。 グレート・ピレニーズはフランス原産ですが、チベット高原で飼われる大きな犬、チベタン・マスティフの子孫と考えられており、紀元前1800年から1000年の間に、西方へ移動する遊牧民らとともに紀元前6世紀頃にヨーロッパに到達したと言われています。そしてピレネー山脈の環境がグレート・ピレニーズにとって理想的だったので、何世紀もの間、そこで活躍していたと考えられています。 17世紀になるとフランス宮廷に迎えられ、ルイ14世やマリー・アントワネットの寵愛を受け、宮殿の護衛犬として働いていました。 犬好きで知られるイギリスのビクトリア女王も1850年頃グレート・ピレニーズを飼っていたようです。 時代が変わって、上流階級の犬による護衛が不要になり人気が低下し、一時期は絶滅寸前まで個体数が減ってしまいました。 しかし愛好家が山岳地帯で生き残っていたグレート・ピレニーズを発見、家庭犬に適した性格になるよう改良され、個体数が増加したのです。
グレート・ピレニーズの特徴
グレート・ピレニーズは長毛のダブルコートです。アンダーコートが密生しているため、寒さには強いですが、暑さには適応できません。
日本の高温多湿の時期は室温や散歩の時間に注意しましょう。
また、換毛期に限らず、年間を通して抜け毛は多いです。
被毛の色はJKC(ジャパン・ケンネル・クラブ)によると白あるいはグレー(アナグマの毛色のような色)、薄いイエロー、ウルフカラー、オレンジ色の斑が頭部、耳、尾の付け根にある白が認められています。
グレート・ピレニーズの性格
おおらかで素直、優しいので子供がいる家庭にも向いています。
番犬として活躍していた犬種のため、警戒心は強めですので、子犬のうちから外の環境や他の犬と交流させて社交性を養うと良いでしょう。
グレート・ピレニーズの大きさ
グレート・ピレニーズは大型犬に分類されます。
グレート・ピレニーズ 成犬の体高
JKCの規定によると、グレート・ピレニーズの成犬時の体高はオス70~80cm、メス65~75cmが一般的です。
グレート・ピレニーズ 成犬の体重
JKCでは体重の規定は定められていませんが、グレート・ピレニーズの成犬時の体重はオス・メスともに45~60kgが一般的です。
グレート・ピレニーズの値段・価格相場と選び方
グレート・ピレニーズの価格相場は40万~80万円となっています。
グレート・ピレニーズの選び方
グレート・ピレニーズの子犬を選ぶときには、以下のポイントをチェックしましょう。
健康体かどうかのチェック |
・毛並みがきれいか ・口の中は綺麗なピンクで噛み合わせが良好か ・目ヤニはなくキレイか ・鼻は湿っているか ・耳の中に異常や異臭はなく綺麗か ・立ったときの肩や前腕・胸部ががっしりしているか ・お尻の周りが汚れていないか ・不自然な歩き方をしていないか ・抱き上げたときにずっしりした重みがあるか |
性格のチェック |
・元気に遊んでいるか ・遠くから声をかけたときに反応するか ・こちらに対し尻尾を振ってくれるか ・抱っこされたときにおとなしいか |
血統・将来の大きさのチェック |
・遺伝病やデメリットとなる特性を親や祖先・兄妹が持っていないか ・JKC発行の血統証明書はついているか ・数代先までファミリーツリーを確認できるか |
グレート・ピレニーズは、山岳地帯で暮らしていたときの名残で、後ろ足にそれぞれ1本ずつ狼爪(ろうそう)があります。
足場の不安定な場所で滑らないようにするための爪です。
まれに狼爪を持って生まれてくる子もいますが、普段の生活に支障がなければそのままでも問題ないようです。
もし折れてしまった、巻き爪になってしまう等の問題があった場合は、獣医師に相談することで処置してもらえます。
飼い方のポイント
ここではお迎えからしつけまで解説していきます。
お迎え時のポイント
子犬のお迎えに行く際には、必ずペットシーツを敷いたキャリーケースを用意しましょう。
安全に子犬を運べるよう、子犬の大きさに適した頑丈なキャリーケースを使ってください。
お迎え時には、食事やトイレの仕方、健康診断やマイクロチップの有無など、子犬の現在の状況を聞いておくことを忘れないようにしましょう。
かかりつけになる動物病院を事前に探しておくことで、お迎え後の健康診断などをスムーズに受けることができます。
グレート・ピレニーズの子犬をお迎えする際には、以下のグッズを用意しましょう。
- サークルやケージ
- トイレトレー
- 首輪やハーネス
- リード
- 食器
- 給水機
- お迎え先で食べていたフード
- スリッカー・コームブラシ
- ペットヒーター(10~5月の場合)
- 爪切りやシャンプーなどのケア用品
- おもちゃ
- 除菌消臭剤 など
お迎え前には子犬が誤って飲み込んでしまわないよう、床に物はできるだけ置かない環境づくりをかかさないようにしましょう。
寒い時期・暑い時期にお迎えをする場合には、ペットヒーターやエアコンで温度管理をしっかり行ってください。
お迎え当日から3日ほどは、なるべくケージから子犬を出さず環境に慣れてもらいましょう。
初日~1週間はじっくりと様子を見て、その後にスキンシップをとっていくと子犬の愛犬に不安をあまり感じさせずに慣れさせることができます。
成長期・成犬期のポイント
グレート・ピレニーズを飼育する際には、飼育や食事、運動やしつけなどさまざまなポイントを知っておく必要があります。
ここでは、グレート・ピレニーズと暮らしていく上でのポイントを解説します。
【飼育のポイント】
グレート・ピレニーズは、最大で体重が60kgにもなる大型犬です。
飼い主自身や家族、散歩で出会った人や犬にとびかかって怪我をさせてしまわないよう、飼い主がコントロールできるようにする必要があります。
また、抱っこは難しい大きさなので、車など移動手段がある家庭が好ましいでしょう。
日本の夏の暑さはグレート・ピレニーズにとっては人間が感じるよりも過酷でしょう。
夏の間は室温や散歩の時間に注意することと、耳が蒸れて発症する外耳炎、多量の被毛で皮膚が蒸れて発症する皮膚炎にも注意しましょう。
【食事のポイント】
大型犬であるグレート・ピレニーズは、胃がねじれる胃捻転や腹部にガスがたまる胃拡張を起こしやすい犬種です。
胃捻転を発症すると血流の悪化で胃が壊死し、最悪の場合、命を落とすこともあります。食後2時間以内の運動を控えることで予防できます。
肉や魚等の良質なタンパク質が主原料のフードがおすすめですが、グレート・ピレニーズは関節へ負担がかかりすぎないよう、体重の管理も大切です。粗脂肪の数値が高いフードは避けた方が良いでしょう。
グレート・ピレニーズは2年かけて成犬になります。
食事の回数は消化器系の成長に合わせて変えていく必要があります。成長段階に合わせたご飯の回数を表にまとめたので参考にしてください。
~生後6ヶ月 |
4回 |
生後6ヶ月〜2歳 |
2,3回 |
2歳以降 |
2回 |
【運動のポイント】
グレート・ピレニーズは激しい運動はあまり必要ありません。
散歩は筋力維持を目的に1日2回、1時間/回(1日2時間)することが理想です。
個体差がありますが、毎日の散歩を行っても運動が足りずにストレスを感じてしまう子もいます。
定期的にドッグランへなどに通い、思いきり運動させましょう。
夏場は熱中症の危険があるため、散歩の時間には注意してください。
可能であればプール等の水遊びに連れて行ってあげると喜ぶでしょう。
【お手入れのポイント】
長毛のダブルコートのグレート・ピレニーズは、体の大きさもあり、お手入れは大変です。
できれば毎日ブラッシングしてあげましょう。
年間を通して抜け毛が多い犬種ですが、換毛期には大量に毛が抜けることは覚悟しておきましょう。
表にグレート・ピレニーズに必要なお手入れをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
ブラッシング |
毎日 |
シャンプー |
月1~2回 |
歯磨き |
毎日 |
爪切り |
月1~2回(爪が伸びていたら) |
耳掃除 |
汚れが気になったら |
【しつけのポイント】
グレート・ピレニーズは賢い犬種で、教えたことを比較的すぐに覚えてくれるでしょう。
しつけで気を付けることは、大型犬で力が強いので、ある程度ではなく徹底してしつけをする必要があります。
幼いうちからトレーニングを徹底し、飼い主がボスであることを学ばせましょう。
警戒心が強いため、自分のテリトリーに入ってきた人やものに吠えてしまうこともあります。
子犬のうちから外の環境や他の人に慣れさせてあげましょう。
生後3~12週の時期は社会化期と呼ばれ、犬が様々な刺激に適応できるようになる期間があります。
この期間に他の人や犬と触れ合わせることで、社交性のある子に育てることができるので、パピーパーティやパピークラスに参加することをおすすめします。
トイレトレーニング |
決められた場所でトイレをできるようにする |
クレートトレーニング |
クレートに入ったまま大人しくできるようにする |
コマンドトレーニング |
「お手」「お座り」「伏せ」などのコマンドをこなせるようにする |
噛み癖のトレーニング |
噛んでよいもの・いけないものの区別できるようにさせる |
吠え癖のトレーニング |
無駄吠えをさせないようにする |
リーダーウォークのトレーニング |
引っ張ることなく、飼い主の横について散歩できるようにする |
まとめ
穏やかな性格と大きな体、ふわふわの被毛が特徴のグレート・ピレニーズ。 家族に迎えるには大きな責任と手間もかかりますが、それ以上の大きな愛を返してくれるでしょう。