この記事では、イングリッシュ・ブルドッグを飼おうと考えている方へ、イングリッシュ・ブルドッグの特徴や性格、大きさ、値段相場、飼い方のポイントなどをご紹介します。イングリッシュ・ブルドッグ飼育の参考にしてみてください。
イングリッシュ・ブルドッグの特徴
日本ではブルドッグソースでおなじみのブルドッグ。 あのロゴのブルドッグは、いわゆるイングリッシュ・ブルドッグです。 18世紀ごろのイギリスで牛と犬を戦わせる娯楽(牛いじめ)があり、そのために改良された犬がオールド・イングリッシュ・ブルドッグでした。 この犬種がイングリッシュ・ブルドッグのもととなっています。 オールド・イングリッシュ・ブルドッグは現存している犬種ですが、四肢が長く全体のバランスが取れておりイングリッシュ・ブルドッグとは容姿が異なります。 1835年にイギリスで動物虐待法が成立し、牛いじめを含めたブラッド・スポーツが禁止されたため、温厚で落ち着いた性格になるよう改良されたのが今のイングリッシュ・ブルドッグとなっています。 人為的繁殖によって頭部が非常に大きくなり、母犬は通常の分娩が不可能になってしまい、帝王切開することがほとんどです。
この特徴的な見た目は皮膚炎や目の病気、呼吸器、関節の問題が非常に多く、2022年に英王立獣医科大学(RVC)が「全ての犬は生まれながらの平等と健康に値する。
自由に呼吸し、完全にまばたきでき、軽々と運動でき、健康でしわのない皮膚をもち、繁殖して出産できなければならない」と語り、イングリッシュ・ブルドッグの不買を呼びかけています。
引用:CNN「ブルドッグは「不健康」、英獣医科大が不買を呼びかけ」
今後、世界でどのような扱いになるのか、注目の犬種でもあります。
イングリッシュ・ブルドッグの被毛・抜け毛
短毛のダブルコートです。毛は伸びないのでトリミングは不要ですが、換毛期は特に毛が抜けます。 基本一年を通して毛が抜けるので覚悟しましょう。 JKC(ジャパン・ケンネル・クラブ)によると、毛色はブリンドル、レッド、フォーン、ファロー(淡黄色)、もしくはホワイトとパイドのものが好ましいとされています。
イングリッシュ・ブルドッグの性格
堂々とした風格のあるボディに大きな強面の顔ですが、社交的で人懐っこく、愛情深い犬種です。
他の動物や子どもとも仲良くできます。
しかし頑固なところもあるので、しつけは褒めて伸ばす方がよいでしょう。
イングリッシュ・ブルドッグの大きさ
イングリッシュ・ブルドッグは中型犬に分類されます。
イングリッシュ・ブルドッグ 成犬の体高
JKCの規定によると、イングリッシュ・ブルドッグの成犬時の体高はオス・メスともに33~41cm一般的です。
イングリッシュ・ブルドッグ 成犬の体重
JKCの規定によると、イングリッシュ・ブルドッグの成犬時の体重はオス約25kg、メス約23kgが一般的です。
イングリッシュ・ブルドッグの値段・価格相場と選び方
イングリッシュ・ブルドッグの値段相場は30万円~70万円となっています。
イングリッシュ・ブルドッグの選び方
イングリッシュ・ブルドッグの子犬を選ぶときには、以下のポイントをチェックしましょう。
健康体かどうかのチェック |
・毛並みがきれいか ・口の中は綺麗なピンクで噛み合わせが良好か ・目ヤニはなくキレイか ・鼻は湿っているか ・耳の中に異常や異臭はなく綺麗か ・立ったときの肩や前腕・胸部ががっしりしているか ・お尻の周りが汚れていないか ・不自然な歩き方をしていないか ・抱き上げたときにずっしりした重みがあるか |
性格のチェック |
・元気に遊んでいるか ・遠くから声をかけたときに反応するか ・こちらに対し尻尾を振ってくれるか ・抱っこされたときにおとなしいか |
血統・将来の大きさのチェック |
・遺伝病やデメリットとなる特性を親や祖先・兄妹が持っていないか ・JKC発行の血統証明書はついているか ・数代先までファミリーツリーを確認できるか |
イングリッシュ・ブルドッグは遺伝的な病気がほかの犬種に比べて多い犬種です。
涙の量が減少することによって、目に炎症が起きてしまう乾性角結膜炎や、鼻の中の粘膜が炎症を起こして鼻の孔が狭くなる鼻腔狭窄、股関節の形が先天的に異常な形になってしまっている股関節形成不全等です。
先天的な病気に関しては有効な治療法が無いことが多いので、早期発見、治療をおこなって上げることが大切です。
毎日のスキンシップで少しでも変だと感じたら、獣医師に診てもらいましょう。
飼い方のポイント
お迎え時のポイント
子犬のお迎えに行く際には、必ずペットシーツを敷いたキャリーケースを用意しましょう。
安全に子犬を運べるよう、子犬の大きさに適した頑丈なキャリーケースを使ってください。
お迎え時には、食事やトイレの仕方、健康診断やマイクロチップの有無など、子犬の現在の状況を聞いておくことを忘れないようにしましょう。
かかりつけになる動物病院を事前に探しておくことで、お迎え後の健康診断などをスムーズに受けることができます。
イングリッシュ・ブルドッグの子犬をお迎えする際には、以下のグッズを用意しましょう。
- サークルやケージ
- トイレトレー
- 首輪やハーネス
- リード
- 食器
- 給水機
- お迎え先で食べていたフード
- スリッカー・コームブラシ
- ペットヒーター(10~5月の場合)
- 爪切りやシャンプーなどのケア用品
- おもちゃ
- 除菌消臭剤 など
お迎え前には子犬が誤って飲み込んでしまわないよう、床に物はできるだけ置かない環境づくりをかかさないようにしましょう。
寒い時期・暑い時期にお迎えをする場合には、ペットヒーターやエアコンで温度管理をしっかり行ってください。
お迎え当日から3日ほどは、なるべくケージから子犬を出さず環境に慣れてもらいましょう。
初日~1週間はじっくりと様子を見て、その後にスキンシップをとっていくと子犬の愛犬に不安をあまり感じさせずに慣れさせることができます。
また、自宅に階段がある場合は、犬が自分で登ったり下りたりしないよう、ゲートを設置することをお勧めします。
関節への負担を避ける目的はもちろん、体に対して頭が非常に大きい犬種なので、自分で階段を降りようとしてそのまま頭から転がり落ちてしまう事故のリスクを減らすためです。
成長期・成犬期のポイント
イングリッシュ・ブルドッグを飼育する際には、飼育や食事、運動やしつけなどさまざまなポイントを知っておく必要があります。ここでは、イングリッシュ・ブルドッグと暮らしていく上でのポイントを解説します。
【飼育のポイント】
イングリッシュ・ブルドッグは短頭種のため、体温調節や呼吸器の問題が起きやすいです。
人間が暑いと思ったときにはイングリッシュ・ブルドッグにはとっても暑いんです。
人間が感じるよりも早めに冷房を使いましょう。
また、興奮して走り回ると「ガーガー」といびきのような呼吸になることもあります。
犬自身で落ち着くのを待つのではなく、「ハウス」や「まて」等の指示を聞くようしつけ、飼い主が落ち着かせてあげられるようにしましょう。
また、犬種の成り立ちから病気になりやすい犬種です。健康管理はもちろん、被毛・皮膚のケアを毎日行う時間を作る必要があります。
【食事のポイント】
イングリッシュ・ブルドッグは頭が非常に大きいため、食器の位置が低いと食べづらいです。食器と頭の位置が同じ高さになるよう台を使用してあげるといいでしょう。
また、イングリッシュ・ブルドッグは顔にしわがたくさんあるため、食後は必ず顔全体、しわの間も拭いてあげましょう。
長時間の散歩が必要な犬種ではないため、カロリーには注意が必要です。肥満にならなければ、関節の病気のリスクを下げることができます。
イングリッシュ・ブルドッグは1年半かけて成犬になります。
食事の回数は消化器系の成長に合わせて変えていく必要があります。成長段階に合わせたご飯の回数を表にまとめたので参考にしてください。
~生後6ヶ月 |
4回 |
生後6ヶ月〜1歳 |
2,3回 |
1歳以降 |
2回 |
【運動のポイント】
イングリッシュ・ブルドッグは呼吸器が強くないことから、たくさんの運動は必要ありません。
散歩は1日2回、15分/回(1日30分)することが理想です。
個体差がありますが、毎日の散歩を行っても運動が足りずにストレスを感じてしまう子もいます。
定期的にドッグランなどに通ってもいいですが、呼吸が激しくなっている場合は休憩させるなど、気をつけながら遊ばせてあげましょう。
【お手入れのポイント】
短毛種のイングリッシュ・ブルドッグは、抜け毛は非常に多いですが比較的お手入れは楽です。
週に2~3回を目安にラバーブラシや獣毛でブラッシングし、蒸しタオルなどで定期的に体を拭いてあげましょう。
また、顔周りのしわは臭いや炎症、涙やけの原因になりますので毎日拭きましょう。
表にイングリッシュ・ブルドッグに必要なお手入れをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
ブラッシング |
週に2~3回 |
シャンプー |
月1~2回 |
歯磨き |
毎日 |
爪切り |
月1~2回(爪が伸びていたら) |
耳掃除 |
汚れが気になったら |
【しつけのポイント】
イングリッシュ・ブルドッグは穏やかで忠誠心の高い犬種ですが、頑固な一面もあります。
しつけでは、根気よく褒めて伸ばす方がいいでしょう。
生後3~12週の時期は社会化期と呼ばれ、犬が様々な刺激に適応できるようになる期間があります。
この期間に他の人や犬と触れ合わせることで、社交性のある子に育てることができるので、パピーパーティやパピークラスに参加することをおすすめします。
トイレトレーニング |
決められた場所でトイレをできるようにする |
クレートトレーニング |
クレートに入ったまま大人しくできるようにする |
コマンドトレーニング |
「お手」「お座り」「伏せ」などのコマンドをこなせるようにする |
噛み癖のトレーニング |
噛んでよいもの・いけないものの区別できるようにさせる |
吠え癖のトレーニング |
無駄吠えをさせないようにする |
リーダーウォークのトレーニング |
引っ張ることなく、飼い主の横について散歩できるようにする |
まとめ
ちょっと怖い見た目ですが、ずっしりとしたボディにベロアのような被毛、甘えん坊でかわいい一面を見せてくれるイングリッシュ・ブルドッグ。 お世話は大変ですが、なんとも言えないかわいさに虜になってしまうでしょう。