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  • 2025/08/27

犬にスイカを与えても大丈夫?栄養・適量・注意点を獣医師監修で解説

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夏の定番フルーツの1つであるスイカ。 「うちの犬にもあげても大丈夫かな?」と気になる飼い主さんも多いはずです。 スイカは水分が豊富で甘みもあり、一見ヘルシーなおやつに思えますが、与え方を間違えると体調不良のリスクがあるため注意が必要です。 この記事では、犬にスイカを与える際の安全性や適量、注意点、おすすめの与え方まで詳しく解説します。 愛犬の健康を守るために、正しい知識を身につけておきましょう。

この記事の監修

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犬にスイカを与えても大丈夫?基本の考え方

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犬にスイカを与えることは基本的に問題ありません。 スイカは約90%が水分で構成されており、熱中症や夏バテ対策としての水分補給に適しているだけでなく、低カロリーのため肥満が気になる犬にも与えやすい果物です。 ただし、犬に安全とされるのは果肉部分のみで、皮や種は消化しにくいので与える際は注意が必要です。 また、腎臓病や心臓疾患のある犬にとっては、スイカに含まれるカリウムがリスクになることもあるため、必ず事前に獣医師に相談してください。 与え方をきちんと守れば夏場のヘルシーなおやつとなります。

出典:宮井 紗弥香,橋詰 利治,岡﨑登志夫 スイカエキス飲料がイヌの血清および尿成分に及ぼす効果


岡﨑 登志夫, 橋詰 利治, 鈴木 光行, 小川 善資 高脂肪飼料給餌ラットに対するスイカエキスの肥満抑制効果 ペット栄養学会誌 17 巻 (2014) 1 号


ただし加工品・味付きには注意

スイカ本体は安全でも、人間向けのスイカ加工食品は犬にとって極めて危険な場合があります。

スイカ味のゼリーやシャーベット、パン、アイスには糖分・脂質が過剰に含まれているだけでなく、キシリトールやチョコレートなど犬に有害な成分が含まれていることがあります。

例えばスイカの種をチョコで模したパンやケーキなどは、チョコレート中毒のリスクを伴い大変危険です。

犬に与えるのは無加工・無調理・果肉のみにしましょう。


スイカに含まれる栄養と犬へのメリット

スイカは水分補給だけでなく、栄養素を豊富に含んだ果物です。

低カロリーで消化もよく、夏場の食欲低下時や熱中症予防に活用できるおやつとして注目されています。


代表的な栄養素とその働き

スイカにはリコピンやβ-カロテンといった抗酸化成分が含まれており、体内の活性酸素を抑制し細胞の老化やがんの発生リスクを減らす効果があるとされています。

さらにビタミンCやビタミンB6などのビタミン、シトルリンなどのアミノ酸も健康維持に効果的とされています。

低カロリーなのに栄養素がバランスよく含まれているスイカは、犬にとっても健康的なおやつとなります。


どんな犬におすすめ?

スイカは基本的に、どの世代の犬にもおすすめです。

特に夏は暑さで食欲が落ち気味の際、果肉の甘みが食欲を刺激するいいオヤツとして活用することができます。

水分補給のきっかけにもなるため、脱水や熱中症の予防にも役立ちます。

果肉がやわらかく消化に優しいため、シニア犬や子犬でも少量であれば安心して与えることができます。

ただし、シニア犬は腎機能の低下が進んでいる可能性があり、カリウム過剰による高カリウム血症のリスクがあるため、事前の確認は必要です。


犬にスイカを与える際の注意点

スイカは夏のおやつとして理想的な果物ですが、与え方を間違えると体調不良を招くこともあります。

ここでは、スイカを犬に与えるうえで確認すべき注意点を解説します。


味付けなしが基本

スイカを犬に与える際は、味付けしない状態で与えることが重要です。

人はスイカに塩をかけて甘さを引き立てたり、冷たいスイーツに加工して食べたりしますが、犬にとっては体に負担がかかるため危険です。

また、スイカ味のゼリーやアイス、パンなどの市販加工品には、糖分、脂質、香料、着色料、さらに中毒の危険があるキシリトールやチョコレートが含まれる場合もあります。

皮と種を除いた果肉だけを無加工・無添加で、人間用とは完全に分けて準備しましょう。


部位・形状・種などに要注意

犬にスイカを与える際は、食べる部位や形状にも慎重になる必要があります。

皮と種は消化しにくいため与えるのは避けましょう。

犬は丸呑みしやすく、2〜3cm角のサイコロ状の果肉でも小型犬や子犬は喉に詰まるリスクがあります。

小さく刻むかすりつぶして与えるのがおすすめです。


加熱等の必要性

スイカは基本的に加熱の必要はありませんが、冷やしすぎには要注意です。

冷えすぎたスイカを食べると下痢や腹痛、胃腸の不調を引き起こすことがあります。

冷蔵庫から出してすぐのスイカは避け、常温に戻してから与えるようにしましょう。

冷凍スイカを使った市販の犬用シャーベットについても、一見涼しげで良さそうに見えますが、胃腸の弱い犬には負担となる可能性があるため要注意です。


アレルギーや体調の変化にも注意

スイカは比較的安全とされていますが、アレルギー反応や体調不良には注意が必要です。

スイカはウリ科の植物で、同じウリ科のメロンやキュウリに対してアレルギー反応を示す犬は、スイカでもアレルギー反応を起こす可能性があります。

また、ブタクサ、オナモミ、ニワトコ、イネ科など植物に対するアレルギーを持つ犬もスイカに敏感なケースがあります。

特に初めて与える場合は、1cm角以下のほんのひとかけらから与え、数時間は注意して様子を観察しましょう。

異常があればすぐに与えるのを中止し、必要であれば動物病院に相談してください。

またアレルギーでなくても、体質によって消化不良を起こすこともあるため慎重に与える必要があります。


スイカを与える量と頻度の目安

スイカは低カロリーで栄養豊富な果物ですが、与えすぎると体調悪化のリスクが高まるため、適切な量を与えることが大切です。


体重別・犬種別の適量目安

スイカの与えすぎは、カロリーオーバーや栄養バランスの乱れにつながります。

必ず主食(総合栄養食)の摂取に影響しないよう、1日の総摂取カロリーの10%以内におさまるようにしましょう。

そのため小型犬(2〜5kg)であれば1日46〜91g程度が目安です。

中型犬(6〜15kg)なら105〜208g、大型犬(20〜50kg)なら258〜514gまでが許容範囲とされています。

与える際は体重だけでなく、日常の活動量や持病の有無も考慮し、必要に応じて獣医師に相談してください。


与える頻度の目安

スイカは水分が多く糖質も含まれているため、毎日与えることは基本的におすすめできません。

連日与えると糖質の摂り過ぎや胃腸の冷え、偏食の原因となるおそれがあります。

多くても週に1〜2回程度、暑い日や運動後の補助的な水分補給として与えるにとどめるのが安心です。


ライフステージ別の目安

犬のライフステージによっても、スイカの与え方には違いがあります。

成犬で健康状態が良好な場合は、適量であればさほど神経質になる必要はありませんが、子犬やシニア犬、持病のある犬には注意が必要です。

子犬は消化器官が未熟なため、上手く消化できずに下痢になってしまう可能性があります。

一方、シニア犬は腎臓や心臓の機能が低下している場合があり、スイカの過剰摂取で高カリウム血症のリスクが高まります。

若齢犬や高齢犬、持病のある犬は慎重に考えましょう。


食べやすく調理するコツ

スイカを犬に与える際の調理はシンプルが基本です。

必ず皮と種を完全に取り除き、果肉部分だけを使います。

愛犬のサイズに応じて小さくカットすることするか、すりつぶすのが安心です。

冷蔵庫で冷やしたスイカは胃腸を刺激することがあるため、常温に戻してから与えるのも忘れずに。


スイカの部位別!犬におすすめ・避けたいポイント

スイカを犬に与えるのは赤い果肉部分のみで、皮や種、白い部分は注意が必要です。

皮や種は消化に悪いことに加え、皮の部分を丸ごと誤って飲み込むと腸に詰まってしまう可能性があります。

与える部位は中心から中腹部の果肉部分だけにし、安全性を最優先に考えましょう。


犬用スイカレシピ!かんたん&安心メニュー

安全にスイカを与えるなら、果肉を1〜2cm角にカットしたシンプルなおやつで与えるのがおすすめです。

果汁を少量フードにかけて風味付けしたり、ペーストにしてドリンクのように与えるのも安全で美味しく食べられます。

1回の量は少なめに、与えた後は体調の変化を観察しましょう。


犬にスイカを与えるときのよくある質問(Q&A)

「冷凍スイカは与えてもいいですか?」

胃腸の弱い犬は避けた方がよく、健康な犬でも常温に戻して与えるのを推奨します。


「糖分が気になるけど、与えても大丈夫ですか?」

スイカは他の果物と比較して糖質が100gあたり9.2〜9.4gと低めで水分が多いため、適量であれば肥満のリスクは高くありません。

(100gあたりの糖質:オレンジ約10.8g、キウイ約9.1g~10.8g、バナナ約21.1g、りんご:約13.0g)


「毎日与えてもいいですか?」

週1〜2回の頻度が理想です。日常的なおやつには適さないとされています。


出典:環境省 飼い主のための ペットフード・ガイドライン
Feeding Treats to Your Dog - WSAVA
AMERICAN KENNEL CLUB



まとめ

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スイカは適切に与えれば、栄養価の高い夏のおやつとして活用できます。 特に暑さに弱い犬種や、水分を摂りにくい犬にとっては、熱中症や夏バテ予防に役立つ貴重な食材です。 一方で、与え方を誤れば下痢や誤飲、アレルギーなどのリスクも伴います。 皮や種の除去、味付けをしないことを徹底して、体重やライフステージに応じた適量を意識して与えましょう。 日々のご褒美や水分補給にスイカを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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獣医師 原田瑠菜

獣医師、ライター。 大学卒業後、畜産系組合に入職し乳牛の診療に携わる。 その後は動物病院で犬や猫を中心とした診療業務に従事。 現在は動物病院で働く傍ら、ライターとしてペット系記事を中心に執筆や監修をおこなっている。

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