マカダミアナッツ、実は愛犬に与えてはいけない危険な食べ物なのをご存じですか? 人にとっては健康的なお菓子として親しまれていますが、犬にとっては少量摂取でも中毒症状が現れることが分かっています。 本記事では、犬がマカダミアナッツを食べたときに見られる症状や応急処置、考えられる原因物質、さらに犬に与えてよい種子と与えてはいけない種子について解説します。
この記事の監修
「マカダミアナッツ」を食べてしまったら命にかかわるの?
マカダミアナッツは犬にとって少量でも危険な食品です。
マカダミアナッツに含まれる成分には、犬の筋肉や神経に影響を与え中毒症状を引き起こすものが含まれています。
原因物質は今だ明らかになってはいませんが、少量でもリスクがあるとされており、注意が必要です。
・S R Hansen, W B Buck, G Meerdink, S A Khan.2000.We akness, tremors, and depression associated with macadamia nuts in dogs.Veterinary and human toxicology.
・Steven R. Hansen, DVM, MS, DABVT. 2000.Macadamia nut toxicosis in dogs
もし「マカダミアナッツ」を食べてしまったらどんな症状がでるの?危険な症状とは?
マカダミアナッツは食べてから早い場合数時間で犬の筋肉の機能に影響し、神経系や消化器系にも異常を起こすとされています。
特に「筋肉の力が入らない」「ふらつく」「立ち上がれない」といった動作の障害が特徴的です。
それ以外にも嘔吐、後肢麻痺、筋肉の脱力、発熱、元気消失など様々な症状を示すとされています。
危険な症状の場合の応急処置
「ぐったりしている」「立てない」などの明らかな症状が出ている場合は、ただちに動物病院で診てもらうことが必要です。
既に有害成分が体内に回っており、自宅での対応では間に合わない可能性があるためです。
必要な検査ののち、催吐処置(薬を使用して吐かせる処置)や点滴が行われます。
自宅で無理に吐かせると、誤嚥性肺炎や消化管損傷のリスクもあるため、自己判断での処置は絶対に推奨されません。
すぐ病院へ向かうのが唯一の正しい応急処置です。
軽度な症状は?
軽度であっても数日は注意が必要です。
マカダミアナッツ中毒は時間差で悪化することがあるためです。
同じ量でも症状の有無や重症度は犬の体質によって異なります。
誤食した直後に症状がなくても、体内で有害成分が作用している可能性は否定できません。
無症状でも油断せず、食べたことが分かった時点でまずは動物病院へ相談しましょう。
軽度な症状の場合の応急処置
症状が軽度な場合でも適切な対応を行いましょう。
食欲や元気が普段通りで、嘔吐や下痢が全くない場合は注意して観察し、異変があれば即受診が無難です。
食べて時間が経っていない場合は催吐処置(薬で吐かせる処置)を行うことで、毒が体内に吸収される前に取り除ける場合もあります。
症状が軽くても、食欲不振や嘔吐、下痢など普段と異なる様子があれば、放置せずになるべく早めに受診することをおすすめします。
食べて時間が経ってから症状が発生することがあるため要注意
食べてから半日以上経過しても症状が出ることがあるため、油断はできません。
マカダミアナッツの消化・吸収スピードは犬の年齢や体質で異なり、遅れて症状が出る場合もあります。
病院を受診した後も、数日は注意して様子を見るのが安心です。
「マカダミアナッツ」を食べてはいけない理由や原因となる成分
マカダミアナッツ中毒の原因は、実はまだはっきりとわかっていません。
ただ、いくつかの説があり、ナッツの多くを占める脂質(オレイン酸やパルミトレイン酸など)が、犬の膵臓や肝臓、神経など多くの臓器に負担をかける可能性があると言われています。
また、神経伝達を阻害する成分が含まれているという可能性も考えられていますが、明らかにはされていません。
犬が食べられる種子一覧
マカダミアナッツのように危険なもの以外に、犬にとって安全性の高い種子もあります。
しかし、与え方や量を誤ると消化不良や肥満の原因になるため、与える際は必ず確認して、適切に与えましょう。
総合栄養食を中心にして、おやつは1日の総カロリーの10%程度にとどめることも重要です。
出典:・Feeding Treats to Your Dog - WSAVA
・AMERICAN KENNEL CLUB
かぼちゃの種
かぼちゃの種は、正しく下処理をすれば安全な種子の一つです。
皮膚や被毛の健康に役立つオメガ3脂肪酸、免疫力を高める亜鉛、抗酸化作用を持つビタミンEが豊富に含まれています。
そのままでは硬い殻が消化されずに喉や腸で詰まる危険があるため、必ず殻をむいてから与えましょう。
無塩・無油のものを使用して軽くローストし、細かく刻むか粉末状にして与えると消化吸収が良くなります。
体重5kgの犬で1〜2粒までが目安です。
脂質が多いため持病のある子や肥満気味の場合は獣医師に相談の上与えるようにしましょう。
ひまわりの種
ひまわりの種も無塩・無味であれば犬が少量食べられる種子です。
ビタミンE、セレン、マグネシウムといった栄養素を多く含み、抗酸化作用や心血管系の健康サポートが期待できます。
与える際は硬い殻を必ず取り除き、中の種だけを与えます。
生のままより軽くローストした方が香りが出て嗜好性が高まります。
与える量は体重5kgの犬で1〜2粒程度としましょう。
それ以上与えると高脂肪による下痢や嘔吐、肥満や膵炎のリスクが高まります。
ごま
ごまは白ごま、黒ごま、金ごまのいずれも少量なら犬に安全に与えられます。
カルシウムや鉄分、食物繊維、抗酸化物質セサミンを含み、骨や歯の健康維持や老化防止に役立ちます。
しかし、ごまの硬い外皮はそのままだと消化吸収が難しいため、必ずすりごまにしてから与えましょう。
体重5kgの犬で小さじ1/4程度が目安です。
ごまは香りが強く嗜好性が高いため、フードに少量混ぜると食欲が落ちた犬の補助にもなりますが、持病のある子は獣医師と相談してから与えるのが安心です。
犬が食べられない種子一覧
一見すると健康によさそうな種子でも、犬にとっては毒性を持つものや少量でも命に関わるものがあります。 人間が日常的に食べるナッツや種子類の中にも危険なものが多く含まれるため、その特徴とリスクをしっかり理解しておきましょう。
ピスタチオ
ピスタチオは高脂肪・高カロリーで、犬に与えると様々な臓器へのリスクが高い可能性があります。また、ピスタチオはリンやカリウムというミネラルを豊富に含むため、過剰摂取になると消化不良から胃腸炎になったり、膵臓や肝臓に負担がかかってしまいます。あえて与える必要はないため、基本的には推奨されません。
クルミ(砕いていない、古いもの)
クルミは中毒物質などは含まれていないため、少量であれば健康に悪影響を与える可能性は低いとされています。しかし、古いクルミに生えたカビ(マイコトキシン)による中毒を発症すると嘔吐、ふらつき、けいれん、食欲不振などの症状が現れることがあります。また、クルミのような大きな種子は犬の消化管に詰まりやすく、丸呑みしてしまうと命に関わる場合もあります。脂質も高く、与える際には十分な注意が必要です。
チョコレートコーティングされた種子
チョコレートコーティングされた種子類は、チョコレートに含まれるテオブロミンが犬に強い毒性を持ち、嘔吐、下痢、不整脈、けいれん、最悪の場合は死亡する危険があります。テオブロミンは犬が代謝できないため体内に蓄積しやすく、少量でも命に関わる可能性があります。チョコレート付きのマカダミアナッツは二重の危険を持つため特に与えてはいけません
出典:・ASPCA – Toxic Foods for Dogs
・環境省 飼い主のための ペットフード・ガイドライン
まとめ
マカダミアナッツは非常に危険で、少量でも中毒を起こす可能性があります。
普段からマカダミアナッツを使用した人用のおやつは、犬の手が届かないところに保管するなど注意が必要です。
誤食した場合はすぐに獣医師へ相談することが大切です。
与えても良いものとダメなものを事前に知って日頃から誤食を防ぎ、愛犬と健やかな毎日を送りましょう。